設置されたばかりの新・案内サイン
まず「表記の統一性の確保」「表現の一貫性の確保」は、これまで案内サインの設置者によってバラバラであった「自己流」の路線名表記や路線カラー、ピクトグラム、表記レイアウトなどを全て統一することが目的だ。
こうした「自己流」の象徴的存在であったのが
「京王新線」の表記だ。京王新線の英語表記は看板によって
「Keio Shinsen Line」「Keio New Line」など統一されておらず、これでは外国人が迷ってしまうのも無理はない。
更新された案内サインでは、京王新線は
「Keio New Line」表記に統一。このほか、これまでは英語表記がバラバラであったバスターミナル
「バスタ新宿」についても、更新後は高速バスを表す
「Expwy Bus」の表記のみに統一・単純化された。
更新前の案内サインには「Keio Shinsen Line」の表記が残る
これが、更新後にはこのように変わった。
新・案内サインでは京王新線は「Keio New Line」に。また、バスタ新宿は施設名ではなく「Expwy Bus」表記に統一された
もちろん、こうした表記の統一が図られたのは日本語部分も同様だ。例えば、地下鉄については単に「地下鉄」表記のみのものや「営団」を消した跡が残る案内サインも見られたが、更新後は「東京メトロ○○線」「都営○○線」の形式へと統一されている。
そして「歩行者動線に対する適切な配置」「構造に適した共通のサイン体系の構築」は、「
現在地の明確化」と「
行先の単純化」を行った上で、分かりやすい経路を示す看板を分かりやすい場所に、そして適切な間隔に設置することを目的としている。
なかでも特に力が入れられたのが、駅周辺の
交通結節空間の拠点化と、
結節空間における案内機能の強化だ。
具体的には、地上の
「南口」「西口広場」「東口広場」「西武新宿駅前」の4か所、地下の
「京王新線地下通路」「西口地下広場」「東口地下通路」「メトロ地下通路」の4か所を「
結節空間」として拠点化。
さらに、駅の北側にあたる「西武新宿駅前」「メトロ地下通路」を青、西側にあたる「西口広場」「西口地下広場」を緑、東側にあたる「東口広場」「東口地下通路」を水色、南側にあたる「南口」「京王新線地下通路」を茶色という風に、
エリアごとに文字の色分けも行った。そして、これらの結節点には「何処に行けばどういった路線、どういった施設があるか」という地図(ターミナルマップ)を掲出。このターミナルマップは「地上図」と「地下図」に別けられており、それぞれの繋がりも示された。こうすることで、各結節空間の位置関係を視覚的に示し、複雑な駅構造の概略化、見える化が図られている。もちろん、こうした色分けは色弱者や白内障患者にも配慮された配色にされているという。
結節点の1つ「京王新線地下通路」。こちらの案内サインは既に更新済みで、交通結節点を表す大きな現在地表記と「地上」「地下」2種類のターミナルマップが掲げられている
今後もし新宿駅周辺で道に迷った際には、新しい案内サインを頼りにして近くの結節空間に辿りつくことができれば、ターミナルマップで目的地までの経路を簡単に確認することができる、という訳だ。
とくに各方面ごとの色分けについては遠くからでも色のみでどちら方向に進んでいるかということが認識できるため、使い慣れればかなり便利なものとなろう。
ターミナルマップの一部。路線名にはラインカラーや路線記号、駅番号も併記される。出入口は方面ごとに色分けされており、同方面は違う場所でも同じ色となる
新・案内サインでは各結節点が方面ごとに色分けされており、遠くからでも分かりやすい