いっぽう、集客面では冒頭でも書いたとおり、「女性を増やしていきたい」と考えているという。しかし、もともと出演者も観客も男性が多いため、そう簡単な話ではない。
「
『高校生RAP選手権』が盛り上がって以降、MCバトルの大会は若い女子のお客さんがすごく増えたんですよ。それでシーン全体も盛り上がった。でも、このあいだ
呂布カルマさんが『最近またMCバトルのお客さんが
童貞っぽい男子ばかりになってきた』って話をしてきて(笑)。やっぱり女性に多く来てもらわないと、大会は盛り上がらないと思うんですよ」
出演者にとって女性客からの声援はモチベーションに繋がるだろうし、男性客にとってもむさ苦しい雰囲気の緩和に繋がるはずだ。では、どうすればMCバトルに女性のお客さんを多く呼び込めるのか?
「一番単純なのは、
ルックスのいいラッパーに出てもらうことですよね
。T-Pablowをはじめとした
BAD HOPの面々は、見た目にも華があって女子にもムチャクチャ人気があるし、彼らみたいなスターがMCバトルにも必要だと思います。その意味でも、T-Pablowが出場して優勝した『高校生RAP選手権』は、MCバトルの世界に女性客を増やす大きなキッカケになったと思います。あと
言×THEANSWERも、僕が『高校生RAP選手権』で観たときは女子人気が凄かった。ステージから手を降っただけで女のコがキャーキャー言ってたし、負けたときは泣いているコもいましたからね」
MCバトルの世界にも、お気に入りのアーティストを追いかけるグルーピーのような存在がいるわけだ。しかし、そこでは問題も起こっているという。
「若いコがやってる小さな大会だと、女子ヘッズとラッパーが簡単に繋がっちゃうんですよ。それで、それに嫉妬したラッパーが、『あいつらは違う目的でバトルに来てんだろ』とSNSに書いてしまったり。でも、主催者がラッパーに
『お前ら、お客さんに手を出すなよ』って言っても、そんなの
100%無理に決まってますからね。有名ラッパーがクラブやイベントでナンパして、その様子をツイッターで暴露されてるような世界ですから(笑)」
どこの世界にもありがちだが、新規客、それも異性の客が増えれば、それはそれでおかしな摩擦も起きるというわけだ。
また、MC正社員はMCバトルが好きな女子“バト女”を集めて、ベストバウトを選んでもらうトークも配信。これまで女性客アップのため、さまざまな試みをしてきたが「あまり盛り上がらなかった」とのこと。
「女性客を増やすには女性のやり手側を増やすことだと思っていて。やっぱりバトルでも女性の市民権を持ってもらいたいか
ら女性限定の『CINDERELLA MCBATTLE』とかもやってたんですが……。あんまりうまくいかなくて。いつかリベンジしたいですね。あとは安直だけどハンサムなラッパーだけ集めた大会をするとか(笑)? ラップ好きの
元KAT-TUN・田中聖くんに出てもらうとかも考えたことありますけど。観客を女子限定にして女子だけに判定してもらうのもいいかな、と思うんですけど、オレがそういうイベントをやると
絶対に怒る人がいるんですよね」
世間的にもMCバトルがブームになっているだけに、いったん火がつけば女性客の急増も大いにあり得るはず。まだ決定打は出ていないが、それまで試行錯誤をしていくことも、結果を生むためには必要だ。