探査機「はやぶさ2」、小惑星リュウグウに到着。日本の宇宙探査が迎えた「終わり」と「始まり」

2020年末に地球帰還、新たな挑戦も

 さらに来年3~4月ごろには、「はやぶさ2」から弾丸を発射してリュウグウにクレーター(窪地)を作り出し、そこに着陸して試料を採取するというダイナミックな挑戦も予定されている。  ただ表面に着陸して試料を採取するだけでも大きな意義はあるものの、クレーターを作り出せば地中に隠れていた物質が露出するため、リュウグウの内部や、天体として生まれた当時の試料が入手できると期待されている。こうしたことは世界初の試みで、リスクはあるものの、成功すれば大きな快挙となる。  そして来年の11月~12月ごろにリュウグウを出発。約1年後の2020年末に地球に接近し、採取した試料の入ったカプセルを分離、地球に投下する。「はやぶさ2」本体のその後はまだ決まっていないものの、観測機器が正常で、燃料も残っていれば、さらに他の天体を訪れて探査する可能性もあるという。 「はやぶさ2」がリュウグウに到着したことで、往路の旅は終わり、いよいよリュウグウの探査が始まることになる。  それは同時に、「はやぶさ」のように手探りとトラブルの連続だった、宇宙探査におけるよちよち歩きの時代が終わり、行きたいところへ確実に訪れ、そして見たり調べたりしたいところを確実に探査できる、日本の宇宙探査の新たな時代の始まりも意味する(もちろんまだ課題は多いが)。  そして、太陽系や生命の起源に迫る、人類の新たな宇宙の冒険の始まりでもある。 「はやぶさ2」プロジェクトを率いるプロジェクト・マネージャーの津田雄一(つだ・ゆういち)氏は「リュウグウは人類が今日初めて到着した天体。誰も見たことがない世界を探査する。なにが起こるか、どんな発見があるかわからないが、果敢に挑戦し、わかったことにはすぐにリアクションするなど、創造性をもって立ち向かいたい」と意気込みを語った。

リュウグウに人工的に生成したクレーターに着陸する「はやぶさ2」の想像図。リスクの高い挑戦だが、成功すれば科学的に大きな意義がある (C) JAXA

<文/鳥嶋真也> 宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)など。 Webサイト: http://kosmograd.info/ Twitter: @Kosmograd_Info(https://twitter.com/Kosmograd_Info) 【参考】 ・小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星Ryugu到着について | 宇宙科学研究所(http://www.isas.jaxa.jp/topics/001567.html) ・小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星到着に関する記者会見(18/06/27) | ファン!ファン!JAXA!(http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/detail/12184.html) ・小惑星探査機「はやぶさ2」の小惑星リュウグウ到着記者会見 2018年6月27日 JAXA はやぶさ2プロジェクト(http://fanfun.jaxa.jp/jaxatv/files/20180627_hayabusa2.pdf) ・ミッションスケジュール暫定版 | トピックス | JAXA はやぶさ2プロジェクト(http://www.hayabusa2.jaxa.jp/topics/mission_schedule/) ・約22kmの距離から見たリュウグウ | 宇宙科学研究所(http://www.isas.jaxa.jp/gallery/feature/ryugu/0018.html
宇宙開発評論家。宇宙作家クラブ会員。国内外の宇宙開発に関する取材、ニュース記事や論考の執筆などを行っている。新聞やテレビ、ラジオでの解説も多数。 著書に『イーロン・マスク』(共著、洋泉社)があるほか、月刊『軍事研究』誌などでも記事を執筆。 Webサイト: КОСМОГРАД Twitter: @Kosmograd_Info
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