かつてアルゼンチン代表で活躍し、レアル・マドリードの選手そして監督を務めたホルヘ・バルダノは「代表はメッシがいないかのようなプレーをしていた」と語っていた。初戦のペナルティキックで失敗して勝利を逃したという自責の念が強く強度の鬱の状態になっているとも言われている。だから、グランドでもできるだけ自らの存在を消そうしているようでもある。彼もともと内気な性格であるから鬱から抜けだせないでいるようだ。仮にこれがロナウドだと、自分のCR7ブランドの販促も兼ねているので鬱と言った状態になれる余裕はないであろう。(参照:「
La Nacion」)
メッシの場合は、彼は代表のキャプテンであるが、チームのリーダーになれる性格ではないと言われている。遠征でこの10年余り部屋をシェアするのはアグエロだけである。マラドーナの場合は3-4人いたそうだ。(参照:「
El Pais」)
しかし、ナイジェリア戦でのメッシはいつものメッシに戻った印象を与えた。バネガが先発選手に加わったことがメッシのいつもの動きを容易にさせたとスペインのスポーツ紙『
AS』のガビロンド記者は指摘している。
この奇跡的な勝利で、メッシが本来のメッシに戻り、またキャプテンとして自信を取り戻せば次のフランス戦(30日)で期待がもてるようになる。もしかしたらメッシにとって、最後のW杯になるかもしれない今大会の活躍を、しっかりと目に焼き付けておきたい。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。