神輿が空を飛び、海を往く! 築地の夏の風物詩「獅子祭り」、来年からはどうなる?

 築地の波除稲荷神社が創建・鎮座されたのは1659年のこと。都内の神社としてはまだ比較的歴史が浅いものであるが、海の守り神として、そして市場に勤務する人々の心の拠り所にもなっているほか、近年は市場を訪れる外国人観光客が日本文化を体験する場の1つともなっている。  1935年に築地市場が完成して以降、波除稲荷神社の境内には「活魚塚」、「海老塚」、「昆布塚」、「玉子塚」など食材に感謝する碑が多く建立されるようになり、市場関係者や食品関連業界団体がしばしば参拝に訪れるなど、神社と市場は切っても切り離せないものとなっている。こうした日本の魚河岸文化とも言うべき「祈りの場」が市場の移転によって切り離されてしまうのは残念なことだ。  ここは1つ、豊洲市場にも百貨店の屋上にあるような小さな神社や祠でもいいから、食材への感謝の想いを込めて祈りを捧げる場を造営してはどうだろうか。市場を訪れる観光客にとっては食材への感謝の心を持ち続ける「日本の魚河岸文化」を感じ取って貰える空間にもなるであろうし、そこを拠点として、つきじ獅子祭りや深川祭りの際に新市場の神輿を出せれば、市場近くを神輿が練り歩くという長年の伝統を継承する場にも、そして豊洲独自の新たな魚河岸文化を築いていく拠点の1つにもなりうるであろう。  市場関係者にとって毎年恒例であった夏の風物詩・獅子祭り。新市場でもこうした伝統を何らかのかたちで引き継いで欲しい――最後の祭りを終えて感慨深そうに神社へと戻る関係者の後ろ姿を見ると、そう思わずにはいられなかった。

築地場外市場を巡回するお歯黒獅子神輿。この場外市場(商店街)は来年以降も築地に残ることになる

<取材・文・撮影/若杉優貴(都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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