一方で、この女性市民団体の活動は、「過激」という特徴がある。論争や説得よりも、徹底した行動主義を貫く。活動する女性たちは、胸をさらすことになんの抵抗もない。「たたかっている」という自負心と誇り。世間の中傷や批判なんか怖くない、はずだった……。
しかし今回の騒動で、彼女たちは絶望している。それは、インターネットでの検索ワードだ。
韓国国内における検索ワードの1位は、「花火フェミアクション 写真 原本」。連日メディアが取り上げる現場写真には、胸の部分にモザイクがかかっている。いわば「修正なし」の胸の写真見たさの検索が多かったという事。
ネット上には、女性の容姿に対する非難も後を絶たない。事実、コメント欄では、デモ活動の評価ではなく、ヴィジュアルの「批評」も多い。
このたび、性暴力や家庭内暴力など、女性に対する暴力や性差別を相談する窓口である「韓国女性のホットライン」が独自に行った調査によると、昨年メディアで報道された殺人事件の中で、夫や恋人など親密な関係のあった男性に殺害された女性は、85名にのぼった。
それだけでなく、殺害未遂や暴力被害にあった女性も103名いたことがわかっている。数値だけでみると、少なくとも2日に一回は、韓国女性が殺害される危険性や暴力にさらされているということになる。(参照:
YTN)
「韓国女性のホットライン」の人権文化局・人権チーム長を務めるチョ・ジェヨン氏は、警鐘を鳴らす。
「依然として韓国社会には、女性に対する嫌悪と差別が根強く残っている。江南駅殺人事件によって、韓国女性は、トイレすら不安視するようになってしまった。政府はトイレの安全性を高めるために、防犯ベルの設置や施錠装置の見直しを行ったが、そもそも議論すべき問題の本質はそこではない。最近は女性嫌悪に対抗するように、男性を嫌悪する流れまで出てきており、お互いを非難しあう風潮が広がりつつある」
「嫌悪」と「排除」が結びつくような、過度に極端化する意識は、韓国社会に否定的なイメージを生む。今まで小さく消えていた女性の声は、さまざまな形で表面化し、韓国社会が大きな転機を迎えている。
<文・安達 夕
@yuu_adachi>