韓国の女性団体が上半身を露わに男尊女卑に抗議、しかし思わぬ反応に絶望……。根深い男女差別

安達夕

「花火フェミアクション」

「花火フェミアクション」FBページ(@feministaction)より

 世界経済フォーラム(WEF)が昨年11月に発表した2017年版「ジェンダー・ギャップ指数」。これは世界各国の男女平等の度合いを数値で示したものであるが、日本は調査対象144カ国のうち、前年よりも3つランクを落とし、114位(参照:内閣府男女共同参画局)と過去最低を記録した。

「男女平等」、「女性の社会進出」、「女性が輝く社会」と女性の活躍を促す昨今の方針が、奏功しているとは言い難い結果であるが、その日本よりも更に下を行くのがお隣の韓国である。

 ニュースだけを見るなら、韓国社会において「#Me Too」運動が活発化し、声高く「たたかう女性」がある種の「ヒーロー」として定着しつつある。彼女らはそろって「ジェンダー平等」を叫び、女性としての権利を主張する。

 ちなみにジェンダー平等とは、男性と女性が同じになることを目指すものではなく、人生や日常生活において、さまざまな機会が性別にかかわらず平等に与えられ、女性と男性が同様に自己実現の機会を得られるような社会の実現を目指すものである。

 しかし、そんな「ジェンダー平等」を叫ぶ彼女たちの、手段を問わない活動が議論を呼んでいる。

 6月2日、ソウル市江南(カンナム)の人通りが多い道路で行われたデモ集会。その途中、数名の女性フェミニズム団体「花火フェミアクション」の会員10名が、上半身を露わにした脱衣パフォーマンスを行った。

 彼女たちは、口々に訴える。

「男性の胸は裸でも問題ないのに、女性の胸をあらわにしたら、わいせつ物扱いなのか」、「男性の裸体を許すなら、女性の裸体も許さなければならない」と。

 しかし、即座にデモ集会を警備していた警察のブルーシートで胸の露出を隠され、活動も制止された。団体側はこの対応に大きく反発。「なぜ隠さなければいけないのか」。このデモ活動が一気に話題となり、国民の賛否を呼んだ。

 そもそも、この日のデモ集会の発端となったのは、市民団体がSNSサイトに投稿した書き込みを、運営側が削除したこと。

 同団体は先月26日、「2018月経フェスティバル」への参加報告をFacebookで発信した。載せた写真は、写っている会員女性、全員が上半身裸である。この発信を受けて、運営側のFacebook KOREAが露出された胸を、規定の「裸体・性的行為に関する掲示物」とみなして投稿を削除。女性市民団体がこれに反発した結果、今回の上半身を露わにするデモに至った。

 この女性市民団体は、「女性の身体とセクシャリティー」をテーマに「女性解放運動」を謳うフェミニストたちの団体で、会員はもちろん全員が女性。200名余りが活動している。

 この女性市民団体が、声高に「ジェンダー平等」を訴えるには理由がある。

 2年前に起きた、「江南駅殺人事件」。韓国社会での女性軽視が改めて露呈した事件である。2016年5月、江南駅にある男女共用トイレで一人の女性が殺害された。被害者女性は当時23歳。犯人とは面識もない、通り魔殺人だった。

 しかし、韓国社会をさらに戦慄させたのは、その犯人の殺人動機が「女だから」と判明したためである。現に、被害者女性がトイレに入るまで数人の男性が犯人と接触したが何の被害もなく、また、犯人は「女性」が来るまで、一時間以上現場で待ち続けたことを告白している。

「女性ということが、殺される理由になる」。一部の女性たちは、韓国社会において「女性」であることの危機感を大きく抱き始めた。ちなみに、これが同団体の発足のきっかけにもなっている。

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韓国に根強く蔓延する「女性軽視」
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