「流暢なプレゼン」に隠された落とし穴。聞き手を飽きさせないために本当に必要なこととは?

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 読点や句点でアイコンタクトを下にはずすと、聞き手の期待を高めたり、理解を深めたりしやすいということは前回お話した通りです(参照:今すぐできる。聞き手の期待や理解が高まる、「上手な視線の外し方」)。  しかし、そうはいっても、プレゼンテーションをし始めると、先を急ぎたくなるものです。  聞き手が関心を低下させていたり、話す内容に集中してくれていないと感じたりした時は、なおさら、さらに饒舌になりがちです。  しかし、よく考えてみると、そもそも話せば話すほど、どんなにすばらしい内容でも、時間の経過とともに、聞き手の関心度や集中度が下がるのが普通です。流暢な話であればあるほど、それが単調であれば、左耳から右耳へ聞き流されてしまうリスクは大きくなると思った方がよいのです。  そして、プレゼンテーション本来の目的である、聞き手を引き付けて、プレゼンテーションの内容を理解度・実行度を高めるという目的が果たせなくなってしまうのです。 「限界効用逓減の法則」という経済理論があります。1杯目のコーヒーよりも、2杯目、3杯目になるほどに、おいしさが逓減するという理論です。プレゼンテーションもそれと同じで、聞き手の関心度や集中度が逓減してしまうのです。  それを防止する方法が、アイコンタクトを下にはずすというコアスキルなのです。つきつめていけば、「風が吹けば、桶屋がもうかる」ということわざどおりに、アイコンタクトを下にはずすということが、ビジネスの成功をもたらすのです。

アイコンタクトを下にはずすとビジネス成功確率が高まる

 つまり、アイコンタクトを下にはずす⇒2、3秒ではずす⇒読点や句点ではずす⇒間をつくれる⇒聞き手の期待を高め理解を深める⇒プレゼンテーションに対する聞き手の関心度や集中度が高まる⇒プレゼンテーションの内容の実行度合が高まる⇒ビジネスの成功確率が高まるという連鎖をつくりだすことができるのです。  これを阻害する要因が、「プレゼンテーションは流暢に話し続けなければならない」という間違った定説です。流暢であればあるほど、それに慣れる速度は高まり、プレゼンテーションの限界効用逓減の度合は高まります。それだけ、聞き手の関心度や集中度が低下する速度は高まるのです。  話し手が話しを続けていれば、聞き手からみると、いったいいつ次の話に対する期待を思い描けばよいのだか、いったいいつうなずけばよいのか、期待をもったり、理解を深めたりする間もなく、話が続くことになってしまい、結局、別のことを考え始めたりして、話し手の話に身が入らなくなるのです。  読点や句点でアイコンタクトを下にはずして、間をつくるのは、このように、聞き手を起こして引き付ける効果があるのです。
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「話したいこと」が多すぎるときは?
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