目的地の小惑星「リュウグウ」に到着した「はやぶさ2」の想像図 (C) JAXA
これから「はやぶさ2」は、リュウグウに近づくための運用が始まる。しかし、ここからがまた一苦労である。
「はやぶさ2」が到着する時点で、リュウグウは地球から約3億kmも離れたところにある。また、リュウグウは直径1kmほどしかない小さな天体ということもあり、じつはその位置は正確にはわかっておらず、約220kmの誤差がある。
従来、多くの探査機は電波を使って距離や位置を測定しながら接近したが、この方法では正確にたどり着くことができず、そばを通り過ぎてしまう可能性もある。
そこで「はやぶさ2」は、電波を使う方法に加え、カメラを使ってリュウグウを確認して距離や位置を測定する「光学電波複合航法」という方法を使い、正確に距離を詰めていく。
この「3億km先にある直径1kmの小惑星にたどり着く」ことの難しさを、JAXAは「日本からブラジルにある6cmの的を狙うようなもの」とたとえる。
ちなみに位置もわかっていなければ、リュウグウの正確な姿かたちもまだわかっていない。イオン・エンジンの噴射完了直後の6日の時点で、「はやぶさ2」とリュウグウとの距離は約2600kmほど離れている。この日、「はやぶさ2」が撮影したリュウグウの画像も公開されたが、その姿はまだ3ピクセルほどの“点”でしか写っていない。
だが、これから近づけば近づくほど、リュウグウの正確な姿があらわになってくる。そして6月27日ごろ(前後する場合もあり)には、「はやぶさ2」はリュウグウから約20kmの場所に接近。JAXAではこれをもって「到着」と定義している。そのころには、リュウグウの姿はもうはっきりと見えているはずである。
6月6日に「はやぶさ2」が撮影したリュウグウ。まだ点でしか見えない (C) JAXA、京都大学、日本スペースガード協会、ソウル大学、東京大、高知大、立教大、名古屋大、千葉工大、明治大、会津大、産総研