ラマダン時期はビジネスチャンス。期間中のイスラム圏の広告合戦がすごかった

エルサレムの聖なる岩のドームに向かうシーンをCMに

 家電製品だけでなく、この時期は車のような大型の買い物に対するセールも多く見受けられます。
日産

日産のラマダンのセール広告

ヴォルクルワーゲン

オマーンにおけるヴォルクルワーゲンのラマダン広告

チェリー自動車

中国産のチェリー自動車の広告

ホンダ

ホンダのラマダンのセール広告

 ラマダン前後の時期は確かに財布の紐が緩くなる時期であるため、これに合わせて新車への買い替え、もしくはもう一台新しい車をセールに合わせて買わせようという意図のためか各社実に多くの広告を展開しています。現地での看板広告、ウェブ上の広告だけではなく、突然路上でゲリラ広告を行うケースもあります。筆者も街中で某自動車会社のロゴが書かれたグッズをもらったことがあります。  また宗教的に重要な月であるため、政治的な要素を含めた広告もあります。  今年、特に注目されているのは、ザイン社というクウェートに本社を置く会社の今年のコマーシャル。3分以上にわたる大作になります。  こちらの内容はシリアなど中東紛争国において、虐げられる人たちの悲しい現実を歌と共に主要先進国のトップに扮する役者たちへ訴えかけるものとなっております。動画の最後はアラブの湾岸諸国のトップたちを連想させる後ろ姿と共に、難民役の子供達が手を繋ぎエルサレム(イスラエルの占領下にある)の聖なる岩のドームへ向かうシーンで終わります。
噂のあの人

中東のCMですが動画の中には最近噂のあの人の役も出てきています

 今現在(6月12日時点)でこの動画の再生数はYoutube上だけで1200万PVを超えています。また、それだけではなく世界中で有名なYoutuberたちに本動画の感想をアップロードさせる、という手法を使い動画を広範囲に展開しております。
Youtuber

アメリカ、イギリス、ギリシア、ヨルダン、シリア、モロッコ、パキスタン、インドネシアなどの有名Youtuberを起用し、それぞれの動画は数十万、数百万PVを超えています

 今回のこのキャンペーンは成功と呼べるほど有名になり、今後はこのような政治思想も絡め広範囲に展開する手法が次々と出てくると考えられます。時代と共にラマダン時期の広告はどんどん変化していくでしょう。  その中で日本企業はどのような商品をどのようにして売り込んでいくのか、参考になる部分もあるのではないかと思います。 【鷹鳥屋明】 たかとりや・あきら。大分県出身。大学で歴史学を学んだ後、重電メーカー、商社などを経て、日本と中東の合弁ベンチャー企業に勤務。個人的な活動として日本と中東各国で、アラブ民族衣装服を完璧に着て日々の仕事を行っていることから多くのメディアに取り上げられInstagramのフォロワーが約7万人、ツイッターのフォロワー3万人突破。中東と世界に日本文化、技術、文化を伝える語り手となるべく奮闘中。アラブ情勢について日本のテレビ番組でコメンテーターを務めることも。 ツイッター @Takatoriya インスタグラム @shams_qamar_jp
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