「障害の絶対王者・オジュウチョウサンの平地挑戦表明」で思い出す障害競馬苦難の歴史

奇跡の大逆転は競馬裏街道たちの活躍から始まった

 だが、障害競馬への逆風は突然、順風に変わった。  前年の1994年に大スターホースだったナリタブライアンによりもたらされた一大競馬ブーム。テレビのスポーツニュースでG1の話題が当たり前のように流れていたこの時代に生まれた次のスターは、「芝生の上ではない場所」から誕生した。  それは、当時のJRAにG1が一つも存在していなかったダートで、JRAの重賞から地方競馬のG1を転戦し勝ち続けたライブリマウントの存在だ。
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全国行脚で中央・地方問わずダート重賞を勝ちまくるライブリマウントの登場で競馬の見方は変わった ※筆者のコレクション・バンダイサラブレットカードより

「ダート新時代」  競馬は芝生の上だけではない、とファンが再認識することになった。以降ホクトベガなど数々のダート名馬が誕生するのである。芝だけが競馬ではないという流れが生まれ、「新しいもの」への期待が一気に高まってきた。
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エリザベス女王杯を勝ったことのあるホクトベガも日本各地で圧勝劇を繰り広げる。もうダート競馬を無視することはできなくなった。※筆者のコレクション・バンダイサラブレットカードより

 そこへさらに翌年・1996年には、障害競馬にも待望のスターが生まれた。たった6頭の1995年中山大障害(秋)で落馬・競走中止していたポレールがめきめき力をつけ、1996年から中山大障害3連覇を達成。しかもこの1頭だけではなく、末脚勝負のマイネルトレドールや、西の老将ケイティタイガーといった名脇役も揃って名勝負が繰り広げられ、障害競馬の人気が回復してきたのだ。  さらにさらに状況は変化していく。アラブ競馬のJRA廃止を決定したJRA理事長・京谷昭夫氏が任期中の1996年5月6日に呼吸不全のため逝去。浜口義曠氏が急遽理事長となった。
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障害戦を愛した濱口理事長による「障害改革」
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