NATO加盟国トルコがNATOの敵ロシアから武器を購入しようとして問題に

 しかし、そんなトルコ側の思惑も虚しく空振りに終わる。  5月に入ると、米国務省はNATO加盟国は米国主導で互換性のある兵器そして軍事機器だけを購入できると表明して、S-400を購入しようとしているトルコに最後の警告をした。(参照:「Hispan TV」)  続き同月、米下院は第5世代戦闘機F-35のトルコへの販売を禁止する法案を可決させた。そして、上院では7160億ドル(77兆3200億円)の軍事予算を承認すると共に、トルコとの軍需品の取引を禁止するとし、トルコがロシアからミサイルシステムを購入しようとした場合は米国の法に則って制裁を科すことが適用されるものとするとした。(参照:「Hispan TV」)  ロシアの防衛システムを購入しようとする国に、「戦闘機F-35とその繊細なテクノロジーを提供するという驚くべき決定をすれば、その戦闘機そのものを破壊することになる」と民主党のジェーン・シャーヒーン上院議員は述べた。(参照:「Hispan TV」)

ロシアやトルコ側は反発

 それに対して、ロシアのプーチン大統領は5月25日に、トルコの置かれている立場を配慮して「自国の防衛システムを改善する時は尊厳ある国として行動すべきだ。エルドアン大統領が周囲からの圧力に屈することなく国の利益を守る意味で譲歩しないことを確信している」と述べた。(参照:「Hispan TV」)  トルコ共和人民党で次期大統領候補のムハーレン・インジェ氏も、トルコCNNテレビでの会見で「S-400を購入するのか、しないのかということに米国は干渉すべきではない」と発言。一方、ポンペオ米国務長官は最近「トルコがS-400を購入しないように努めている」と語っていた。  トルコ共和人民党のある議員によると、「米国の主要なテーマはS-400そのものの購入ではなく、ロシアがその為にトルコで配備するレーダー網のことが気になっているのだ」と語ったという。

さらにSu-57購入も視野に!?

 独裁的なエルドアン大統領は米国からの執拗な圧力に業を煮やしたのか、匿名による情報としてトルコ紙『Yenik Safak』が5月27日付にて報じたのは、4月にアンカラでプーチン大統領とエルドアン大統領が会談した際に、ロシアの第5世代戦闘機Su-57の購入がテーマのひとつになっていたということを明らかにしたのである。それは同紙によると、米国の上院でトルコにF-35の販売を禁止する法案が可決したことへの反動として両者の会談の中で取り上げらたという。  また、トルコがSu-57に興味を惹かれる理由もある。その価格がF-35のほぼ半額で収まるということと、Su-57の方がトルコが要望している機能面という点において高い評価を与えることができるとされているからである。(参照:「Galaxia Militar」)  更に、5月30日付『HISPANTV』電子紙が米国がF-35をトルコに提供しないと決定するのであれば、トルコにある米軍基地としても使用されているインジルリク空軍基地を閉鎖する意向があることを報じたのである。また同紙は、トルコの報道メディアがトルコがロシアのSu-57の購入を検討していることを報じたことにも言及した。  トルコの貿易取引量のほぼ半分はヨーロッパとの取引で、その意味でEUそしてNATOとの関係を今後も維持していきたいというのがトルコの考えであろう。その一方で、トルコもイスラム圏ということからユーラシア連合(EEU)への加盟を常に希望しており、又軍事面でもNATOのライバル上海協力機構(SCO)への加盟にも関心をもっているというのは以前から話題になっている。  この問題の解決は長引きそうである。 <文/白石和幸 photo by Соколрус via Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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