NATO加盟国トルコがNATOの敵ロシアから武器を購入しようとして問題に

白石和幸
s400missile

photo by Соколрус via Wikimedia Commons(CC BY-SA 4.0)

 1952年からNATOに加盟しているトルコがロシアから対空ミサイル・システムS-400の購入を決定したことに対し、米国は「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」を適用してトルコに制裁を科す方向にある。このことから両国そして他のNATO加盟国との間で、今後の成り行きが懸念されている。

 対空ミサイル・システムS-400は1990年代にロシアで開発されたもので、敵の戦闘機やミサイルを迎撃する目的で開発されたものである。射程距離400㎞にある敵の6か所の標的を同時に迎撃処理できる能力を備えているという。米国のパトリオットと類似しているが、相対的にS-400の方が機能的に優れていると言われている。

 トルコのエルドアン大統領がS-400の購入を仄めかしたのは2017年9月であった。そして同月27日にロシアとS-400の購入契約を結んだことを明らかにしたのである。(参照:「El Mundo」)

 米国を含めNATO加盟国内ではS-400はNATOの兵器と互換性がないとして、その購入に反対している。

 今年4月には、米国務省ヨーロッパ及びユーラシア担当のウェス・ミッチェル氏がトルコがS-400を購入するとなれば、CAATSAの231条を適用して制裁を科すことになる可能性があることを表明し、「それは第5世代の戦闘機F-35のトルコへの供給プログラムに否定的な影響を及ぼすことになる」と言明した。(参照:「HsipanTV」)

 トルコのF-35の購入プログラムによると、全機で100機購入する予定になっているという。現在トルコの造船所で建造されている空母アナドルTCGが今年末に完成することに合わせて米国からの最初のF-35の引き渡しを希望している。そして、2022年までに30機の入手がプログラムされているという。(参照:「Galaxia Militar」)

 ところが、米国のキューバ移民2世のボブ・メネンデス上院議員がリーダーとなっているグループは、国務省に対しトルコへのS-400の販売にはCAATSAに基づいて制裁を科すべきだと要求して、制裁の可能性の検討段階ではなくF-35の引き渡しを阻止して制裁の実行を要望したのだ。その結果、4月の言明になったわけである。

 それに対してトルコのジャニクリ国防相は「ロシアのS-400をトルコが購入することに対し、F-35の引き渡しへの如何なる影響もあるべきではない」と回答している。同相がそのような回答をしたのも、F-35の生産にトルコ航空宇宙産業(TAI)は1億9500万ドル(210億円)を投入して2008年から部品を納品して協力して来ているからである。また、米軍事企業ノースロップ・グラマンの協力企業としてロッキード社の機材の中央胴体の部品の生産も行っている。このような深いレベルの協力関係があるから、F-35をトルコに納品しないということは不可能であろうと同相は判断したようである。

 一方で、4月27日にはブルッセルを訪問中のトルコのチャプシオール外相が「NATO加盟国から米国のパトリオットのようなミサイル・システムについて興味を惹かれるような提案があれば、トルコは検討する用意がある」とも回答し、機嫌をとりなすような発言をしている。(参照:「Hispan TV」)

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米国の決定にロシア・トルコも反発

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