自民・萩生田氏の「子育てはママがいい」。海外でも報じられ外国からは驚愕の声が…

林泰人
 子育ては母親がするべき……? 女性の社会進出を促す「SHINE!」を掲げている政権とは思えない発言だが、ご存知のとおり自民党の萩生田光一幹事長代行の発言が物議をかもしている。

萩生田発言の背後にある「親学」

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「日本高官が幼児を育てるのは父親の仕事ではないと発言」という『ワシントンポスト』の見出し

 宮崎市で行われた講演で、独自の子育て論を展開した萩生田氏。全体で言えば、「育児負担を減らすべく社会制度で底上げをしよう」という趣旨なのだが、「『男女共同参画』『男も育児』だとか格好いいことを言っても、子どもにとっては迷惑な話。子どもがお母さんと一緒にいられるような環境が必要」、「明確な統計は取れないが、どう考えてもママがいいに決まっている。ゼロ歳から『パパがいい』と言うのは変わっている」という発言がマズかった。

 相変わらず「一部を切り取って」とこの発言への批判を腐す声もあるが、確かに、彼が発言の全体で言っている「育児負担を減らすべく社会制度で底上げをしよう」ということに異論を唱える人はいないだろう。ただ、その前提が問題なのだ。前提として、その負担が「母親」にかかるものであり、「パパがいいというのは変わっている」と、ろくな統計もないのに決めつけていることが批判されているのである。

 なぜこのような発言が出るのかといえば、それは萩生田氏の背景にも要因がある。萩生田氏は日本会議Webサイトの設立10周年記念大会によせて、日本会議国会議員懇談会事務局長としてこう祝辞を寄せている。

“「行き過ぎたジェンダーフリー教育、過激な性教育」対策では日本会議の識者の先生方の後押しもいただき、党内でも問題を喚起し、ジェンダーの暴走をくい止め、正しい男女共同参画社会へと路線を変更する事ができました”(参照:日本会議 設立10周年記念大会開催

 日本会議といえば、本サイトでもおなじみだが、教育学者であり、「親学」を提唱する高橋史朗氏が幹部を務める日本青年協議会が事務局となっている集団。親学では自立した子どもを育てるための、乳児期の父親の役割として、「父親は家事をサポートし、赤ちゃんへの働きかけを積極的にする」ことを正解とし、その解説として以下のような文言を付している。

“核家族化で祖父母のいない家庭での育児は母親に大きな負担を与えます。だからといって、父親が母親に代わって赤ちゃんの面倒を全部みるのもよくありません。赤ちゃんにとって最も大切なのは自分を産んだ母親なのです。子育ては母親が中心になり、父親はサポートするのが好ましい形です”(参照:「親学推進協会」)

 どうだろう? 萩生田氏のコメントとよく似てるではないか。萩生田氏自身が親学推進議連に属しているかはともかく、日本会議国会議員懇談会事務局長という役職を持つ彼が、高橋史朗氏の「親学」に影響を受けているのは想像に難くない。

 単に、「育児負担をへらすために社会制度で底上げをする」とさえ言っておけば、多くの支持者を得られたであろう、この杜撰すぎるジェンダー感覚はSNSなどでの批判だけでなく、思った以上に波紋を呼ぶことになる……。

「ワシントン・ポスト」まで取り上げる事態に

 萩生田発言への批判は、なんと海外メディアまで飛び火。『ワシントンポスト』は「日本高官が幼児を育てるのは父親の仕事ではないと発言」との見出しで、今回の発言を報道するという事態になった。

 翻訳の過程で、エキセントリックさが増した感も否めないが、果たして、この記事を読んだ海外の人々はどう感じたのか? 先日まで日本旅行に来ていたデンマーク在住のイギリス人女性は次のように語る。

「日本での時間は最高でしたけど、コペンハーゲンに戻ってからこのニュースを見て、こっちがどれだけ先進的で素晴らしい考え方をしているか思い出しました。デンマークにも育休はあるので、子育ての初期段階で父親と母親はともに助け合うことができます」(イギリス人・女性・33歳)

 男女どちらかが子育てをするという前提が、欧米の感覚では理解しにくいようだ。

「ノルウェーでは基本的に両親2人で合計12か月の育児休暇がもらえます。しかも、どちらも最低3か月ずつは育休を取らなければいけません。もし片方が3か月の休みを取らなければ、もう片方の育休もなくなってしまうという仕組みです。残りの6か月分は、2人の間で都合のいいように配分することができます。とてもいい仕組みなんじゃないかと思います」(ノルウェー人・女性・32歳)

 男女ともに最低限の育児休暇を取らなければ、相手の育休も消滅する……。たしかにパートナーのことを考えれば、休みを取らざるを得ない仕組みだ。また、デンマークでは、女性は1年間給料が保障された状態で仕事を休める。萩生田氏の真意が「社会制度の底上げ」にあるのであれば、「子どもがお母さんと一緒にいられるような環境が必要」というような根拠なき「育児は母親」という前提でなく、こうした社会制度のほうを健闘していただきたいところだ。

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