「水戦争」はすでに始まっている。 南米巨大水源地帯に忍び寄るアメリカ

アメリカの真の狙いは巨大水源地か

 通常は、外国から軍隊がアルゼンチン領土に入る場合は議会で事前に審議の上、承認が必要とされている。ところが、マクリ大統領政府はその承認を申請することなく、米軍を入国させたのである。政府の説明によると、入国した米軍は諜報部隊であって戦闘部隊ではない、という理由を挙げて議会での承認は必要ないと判断したという。それに対して野党は、諜報部隊だといっても、彼らは軍隊であり、自国軍と合同演習をするのであるから議会の承認は必要であったと主張した。  ではなぜ、米国から戦闘部隊ではなく諜報部隊を入国させたのか? それに関して、「アルゼンチン民主政治の為の活動センター(CEMIDA)」の専門家エルサ・ブルゾーネがその理由を解明している。3か国国境地域のミシオネス県で米軍基地を設置する理由は、表向きイスラム国などテロリズムの活動を取り締まるのが目的だ説明しているが、そこは世界でも屈指の地下淡水地帯であるということ。米軍が目指しているのはこの淡水のコントロールであると彼女は指摘している。(参照:「Resumen LatinoAmericano」)  更に、もう2か所予定されている軍事基地は、ひとつがパタゴニアのウシュアイア市と、もうひとつはフフイ地域である。ウシュアイア市では科学研究が目的だとしているが、その詳細は不明で、そこは南極に繋がる凍結した淡水の豊富な地帯である。また、フフイ地域はボリビアとチリに跨る塩田地帯である。豊富なリチウムが埋蔵されている地域である。(参照:「HispanTV」)  自然資源が豊富なアルゼンチンで、米国はヒズボラ対策のための軍事基地と称して、そこでの本来の狙いである自然資源をコントロールしようとしているとして南米の専門家の間では警戒感が高まっているのだ。 <文/白石和幸 photo by Abuelodelanada via WikimediaCommons(CC BY-SA 3.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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