良くも悪くも自由過ぎる米スタバ利用客の生態。日本もいずれ「無法地帯化」する!?

橋本愛喜
米スタバ内で寿司を食べる客

米スタバ内で寿司を食べる客。オシャレな場所というイメージが定着している日本では想像のつかない光景だ

 先日、コーヒーチェーン世界大手の米スターバックス(以下、「米スタバ」)が、商品購入の有無に関わらず、どんな来店者でも「客」として受け入れることを発表。

“第三の場所(職場でも家庭でもない場所)”として、店舗内のテーブル席やテラス、トイレなどの使用を歓迎するという新たな方針を打ち出した。

 そのきっかけとなったのは、今年4月、米フィラデルフィアの店舗で、商品を注文せずに友人を待っていた2人の黒人男性が不法侵入で逮捕されたことにある。

 1人がトイレを使わせてほしいと要求したところ、店員は「注文する客しか使えない」としてこれを拒否。その後も店内のテーブル席に座り続ける2人を警察に通報したのだ。

 この件に関して、日本国内でも「客が白人だったら起こり得なかっただろう」という声があがる一方、それ以前に「飲食店で何も注文せずに居座るほうが悪い」、「席だけ占領するのは営業妨害」といった意見も多く目にする。

 日本では、他人に気を取られず、比較的落ち着いてコーヒーが楽しめるスタバだが、同じチェーン店でも、国が変われば店内の様子も変わってくる。今回は、このほど問題になった米スタバにおける「客の自由度」について、いくつか紹介しよう。

 今回の問題の引き金にもなった、商品の購入なしで店内のテーブル席を使う行為。

 客の逮捕を受けて、米スタバは注文なしでも店舗内の利用を可能にすると明言したが、元々米スタバでは、原則的には許されていなかったものの、ずいぶん前から多くの“客”が商品の購入なしにテーブル席を利用する姿があった。

 それだけではない。他店で購入した商品を飲食する人も頻繁に目撃する。

 スタバのコーヒーとともに、隣のデリ(コンビニ)で買ったサンドウィッチをテーブルに広げる人もいれば、コーヒーも買わずに、箸でSUSHIを食べる人もいる。「コーヒーの香りを感じてほしい」という理由から禁煙を打ち出しているはずのスタバで、“マックの香り”を感じ、顔を上げて自分の居場所を確認することもあったほどだ。

 しかし、それでも他の客や店員は普段、誰も文句を言わない。執筆のため、4年間毎日のようにニューヨークのスタバを転々とした筆者だが、一度もそうした現場に出くわすことはなかった。

 日本では論外だとされる行為だが、アメリカではこうした「スタバのフードコート化」が多くの店舗で日常的に見られるのだ。

 また、スタバに限ったことではないが、アメリカのカフェやファストフード店に来店する“客”が、店に求めるサービスの中で大きな割合を占めるのが、トイレだ。

 知られた話だが、アメリカには公衆トイレが極端に少ない。1日約600万人が利用するニューヨークの地下鉄でさえも、ほとんどの駅にトイレはない。

 そのため、1~2ブロックに1店舗の割合で点在するスタバやファストフード店は、観光客などの公衆トイレと化し、どの店舗にもトイレ前には、レジ前以上に長蛇の列ができる。その多くは「トイレだけが目的」の“客”だ。

 防犯上の理由から、これらのトイレには、暗証番号型の鍵がかかっていることがあるのだが、その鍵の解除番号が、商品購入時に受け取ったレシートに書かれてあるところからすると、やはり「店内で“入れた分”を、トイレで“出して”もらいたい」というのが店側の本音だろう。

 が、そんな対策もむなしく、列をなした客らは、ドアを閉めることなく次の客へバトンのようにトイレを明け渡し、防犯対策の面からも販売促進の面からも、鍵の存在意義を吹っ飛ばしている。

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ホームレスがカジュアルに利用する光景も珍しくない

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