新潟県魚沼市で講演会を行った小泉純一郎・元首相
「原発ゼロ社会の実現」を訴え、全国講演行脚を続けている小泉純一郎元首相が5月23日、新潟県魚沼市で講演を行った。その翌日は、東京電力「柏崎刈羽原子力発電所」再稼動が最大の争点の「新潟県知事選」(6月10日投開票)の告示日だった。
小泉元首相が講演会で、原発再稼働を進める安倍政権批判
講演会場には、野党統一候補の池田千賀子氏と選対本部長の菊田まきこ衆院議員(新潟4区)が駆けつけ、最前列で元首相の熱弁に耳を傾けている。「講演日程が決まった後に米山隆一知事が辞任した」「(新潟県知事選の)選挙運動のために来たわけではない」と小泉氏は説明をしたが、それでも、脱原発派の勝利に向けた決起集会のような会場の雰囲気は、消え去ることはなかった。
小泉氏が批判の矛先を向けたのは、原発再稼動に邁進する安倍政権に対してだ。
「原子力規制委員会の委員長が『新しい基準にパスしたけれども、安全とは申し上げない』と。ここに日本の原発政策のいい加減さがある。誰が責任を取っているのか。政府は委員長が『安全と申し上げない』と言っているのに『世界一厳しい安全基準』と言って再稼動をさせている」と指摘した。
そして日本の目指すべき道が「原発即時ゼロ(自然エネルギーへの転換)」であると強調した後、その実現のためには、原発推進論者の集まりである安倍自民党を大敗させ、政権から引きずり降ろすことが重要だと訴えたのだ。
「『自然エネルギーで日本は発展できる。もう原発になんか頼らなくてもいい』という考えを国民に持ってもらって、選挙の時に原発推進論者は絶対に当選させない(ことが必要だ)」
実質的な安倍政権打倒宣言が小泉氏から飛び出した瞬間、参加者(約1100人)からは大きな拍手が沸き起こり、会場のボルテージは最高潮に達した。翌日告示の新潟県知事選を皮切りに「原発ゼロイエスかノーか」が争点の選挙で国民の民意を示し、原発ゼロ政権誕生を実現しようと呼びかけたともいえる。