優良顧客であるAさんとの取引には、じっくり時間をかけています。2人の感情に行き違いがあれば丁寧に対応し、問題解決に取り組む。長期的な関係を前提とし、他の愛人には明らかにしていない個人情報も提供しております。ビジネスであれば、秘密保持契約を交わすような深い情報まで、Aさんには教えているのです。
互いに自宅の住所も知っておりますし、私は彼の実家にお邪魔したこともあるほどです(Aさんのご家族からすれば、愛人の存在は邪魔でしかないと思われますが、Aさんが選択したことですから仕方ありません)。
もちろん、愛人関係にある男性に個人情報を伝えることにはリスクがありますが、それ以上にリターンがあると考えられる際には、リスクを取ることも重要です。
身も蓋もない表現をすれば、彼が「2:8」の8割を占める優良顧客=コアファンになると見込んだからこそ、私はプライベートな情報をお伝えしたといえます。また彼にしてみれば、私という取引先に投資を集中したいと思ったからこそ、私のプライベートな情報を知りたがったともいえるでしょう。
こうして互いに信頼関係を築いた結果、Aさんは全体の8割を占める主要取引先に育ったのでございます。
1者との取引が安定しますと、他社(者)との交渉にも余裕が出てまいります。もちろん新規顧客開拓は大切ですが、経営安定のためには、既存顧客との間に盤石な基盤を築くことが、何より重要ではないでしょうか。
ビジネスにおける「パレートの法則(2:8の法則)」は、愛人関係においても当てはまるのです。
<文・東條才子>