少子化なのに「試合に出られない子ども」も増加! 少年野球チームが抱える現代的悩み

 筆者が「申し訳なさ」を感じたのはここで、自分が少年野球をやっていたころ、親は免許を持ち、チームの選手をクルマで送ったりする役目を果たしていたからだ。  ところが、自分の場合、子供に野球をやらせようとしたとしても、その役目を果たすことができない。他の親の運転に「甘えさせていただく」(もちろんガソリン代の負担などをするなどはするものの)ことになるのは明白だ。  とはいえ、東京育ちで現在も東京在住の筆者にとってクルマを買うという選択肢は負担が大きい。クルマを所持していなくても特に生活には困らないし、(元)妻は免許を所持しているがカーシェアが発達してきたため、個人で所有はしていない。

子供人口減少なのに試合に出られない子供たち

 クルマ所有率の減少は都市部中心の問題であろうが、その他にもコーチ陣には、実際に減少する少年野球人口による「副作用」にも悩まされている。ある学童野球チームで監督だった方の話だ。 「以前は同じチームの中にA、B、C、D…というように通称『学年チーム』が存在していていました。当時はAが6年生、Bが5年生以下、Cが4年生以下…という感じです。しかし今では私が監督をしていたチームには学年チームが存在していません」(学童野球元監督)  実際に集計しているチーム数というのはこのA、B、Cというような学年チームを含んでいる場合もあるという。 「A、Bなどのチームは登録申請でそのように来れば2チームとして集計していますし、チーム側が分けずに申請していれば1チームとして集計しています」(東京都軟式野球連盟)  そのため、先に紹介したチーム数減少という部分には『学年チーム』分けされていた学童野球チームが、子供人口減少によって内部的に統合されているものも含まれている。筆者の出身チームも在籍時はA、B、Cと3チームあったのだが、現在は2チームと減少していた。 「6年生が1人、5年生が6人、4年生が6人……昔ならこの4年生の子たちはCチームが存在していた頃であれば全員レギュラーとして試合に出場できたはずなのですが、今は1チームしかないので4人も控えに回ります。チームとしても上級生が薄い状況で大会でも1回戦で負けるしリーグ戦でもボロボロなんです」(学童野球元監督)  この元監督は、チームOBにはプロ野球でタイトルを獲った選手も輩出しているのだが、実に悲しそうな顔だった。  選手が減ったから試合に出られるという訳でもない現実に、途中で辞めてしまう子供を引き止める術もないという。 「試合に出られる(一部の)4年生の子供たちも、相手チームの6年生投手に正直『ついていけない』のでまず打てない。年齢に沿った対戦ができず、こちらも一人6年生の孤軍奮闘状態です。試合の勝敗はエラーの少ないほうが勝ちという状況では楽しく野球ができているのか申し訳ない気持ちになります。運営に余裕がある(学年チームを運営できている)強豪チームのほうが結果試合に出られるから移籍するという子も出てきています。」(学童野球元監督)  現在なんとか『学年チーム』を失っても存続している学童野球チームが踏みとどまっていることで、人口比に近いチーム数が保持できているが、こういったチームが力尽きてしまったとき、近所にチームがないことによる崩壊現象が起きてしまう危険が伴っている状況だ。  だが、野球ができる場所の確保、野球用品の準備など、いろいろな側面で野球人気回復へ活動している関係者も増えてきている。対案としてもリーグ全体でのミニバスの運用や、低学年学童でも試合をする機会を増加できるような「新人リーグ」の運営など、現場側の努力でどうにか野球競技人口減少に歯止めをかけているともいえる。筆者も含めて良い知恵をなんとか出していきたい。 <取材・文・撮影 佐藤永記>
公営競技ライター・生主。シグナルRightの名前で公営競技の解説配信活動「公営競技大学」を個人運営している。また、日刊SPA!のギャンブルコーナー勝SPA!編集担当も。Twitter:@signalright
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