ベトナム・ダナンにあるという、「ラーメン二郎」風ラーメンを食べに行ってきた

ベトナム・ダナンで「ラーメン二郎」!?

 そもそも筆者がここに来たのには理由があった。  ダナンに詳しい人物に「ダナンでラーメン二郎が恋しくなったら「花鳥風月」に行け」と言われたのだ。  ラーメン二郎は1968年に東京で創業したラーメン店のことで、太い麺に大量のモヤシやチャーシューが載った、ボリューム満点の脂っこいラーメンである。のれん分けされた店以外にも、日本中でマニアが模倣したインスパイア系などもあり、ひとつのジャンルとして確立されていると言っても過言ではないことは今更説明するまでもあるまい。  そんな「ラーメン二郎(的な食べ物)」がダナンで食べられると聞き、筆者は「花鳥風月」に来たのだ。  さて、店に入り、実際にメニューを前にしてみる。なんと、そこには「二郎風ラーメン」と書かれてあった。ラーメン二郎そのものが進出してきたわけではない。あくまでも「風」であった。少し嫌な予感があった。ここを教えてくれた人物は「二郎“風”にとんでもない衝撃を受ける」とも囁いていたからだ。  もちろん期待もあった。ダナンには「ミークワン」、それからダナンから至近の古都ホイアンには「カオラオ」という麺料理がある。数百年前に渡来した日本人が伝えた伊勢うどんを真似て作った麺料理とされ、ダナン近辺には昔から日本の麺が関わっている。だから、「風」であっても期待できるレベルなのではないか。

ダナンの「ラーメン二郎(風)」、いざ実食!

 数分後にやってきた二郎風ラーメンは1杯が10万ドン、すなわち約490円。これがその、「ダナンの二郎(風)」である。

日本人である前オーナーが名付けたのか、お客の日本人駐在員が付けたのか。「二郎風ラーメン」

 まず見た目においては山盛りの野菜がない。だが、たっぷりと白い脂肪分が浮いている。野菜はなくとも、こってり感はよさそうな雰囲気がある。しかし、一口目のスープに衝撃を受けた……。  というのは、スープにコクはまったくなく、薄い醤油ラーメンに背脂を大量に浮かせているだけのような味なのだ。昔の「背脂チャッチャ風」が近いかもしれない。おまけに麺は細めの中太麺。さらに、本来こんもりと盛られてくるはずの野菜は麺の下に隠れていた。大量のキャベツによるかさ増し状態。これでは背脂チャッチャ肉野菜炒めラーメンである。  「二郎風ラーメン」は、「風」ですらなかったのでだいぶ拍子抜けしたが、これ以外のメニューは普通に美味しいし、瓶ビールが地元銘柄の「ラルー」というもので2万ドン。日本円にしてたった97円と激安である。日本人客も順調に入っているようで、居酒屋としては合格のようである。接待などにも頻繁に利用されているようだ。  ダナンの地に赴任し、奮闘する日本人の駐在員たちは、今日もまたこの「二郎風」で、英気を養っているのかもしれない。 <取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)>
(Twitter ID:@NatureNENEAM) たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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