処分の発表の時間だ。
発表担当の女性から、「本日の皆さんは、免許停止処分ということに決定しました」との言葉が!
見出しの問いかけから回答まで時間がかかったが、「免許停止の点数に達したあと、処分開始前に再度違反をして免許取消の基準に達した場合はどうなるか?」への答えは、「免許停止で済んだ」だったのである。
ただし、これには条件がある。
実はこのケース、ネットではさまざまな噂が流れているが、2009年4月30日の警察庁の通達で「運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について」というものできっちり書かれているのである。(※参照:
運転免許の効力の停止等の処分量定の特例及び軽減の基準について)
それによれば、一度処分の基準点数に達した者が、その処分が行われるまでの間に再び違反行為を重ねたことによって新たに処分の基準点数に達した場合、再びした違反行為(X)に係る累積点数(Y)が、免許取り消しに達した場合、一度処分の基準点数に達した日から再び違反行為をした日までの期間が1か月の免許期間を経過しているときは、処分が遅れた理由が所在不明など違反者側の理由でない場合は、「順に処分を行った場合と均衡を失しないように処分量定を行う」とあるのだ。(※ただし、Xの前にすでに取り消しの基準点数に達する違反がある場合はダメ)
同時に、1か月以内に違反を犯した場合も、Xの違反の点数が3点以下である場合は180日の処分量定を行うと書かれている(※こちらも、Xが4点以上の違反の場合と、Xの前にすでに取り消しの基準点数に達する違反がある場合はダメ)
つまりこういうことになる。
筆者が警察署に出頭し違反を認めてから、なかなか通知が来なかった。やっと通知が来てから、意見の聴取当日までの日数は2か月以上が経過していたが、遅れた理由は筆者側の要因ではなかった。そしてXの違反を犯す前の累積点数は14点であり、取り消しの基準点数には達していなかった。そのため、順に処分を行った場合は「免停」であり、「免取」になった場合は罪が重くなってしまい、均衡を失することになる。そのため、処分量定は「免停」なのである。
ではXの2点はどこへ行ってしまったのか? 筆者の場合は、「リセット」された。この点については、処分を受ける警察の所在地によっても変わるようで、免許停止処分満了後に前歴1ですでに2点を加点された状態(次は4点以上で即免停60日になる)からスタートになるか、あるいは前歴1だが2点もリセットされて0からスタートになる場合もあるという。というのも、警察庁の通達自体は法令ではなく、あくまでも処分の方向性への指針、いわば『上司からの指示』なので、その通りにしないところもあるのだ。
そのため、この通達では免許停止に軽減されるはずなのに取消になってしまう場合や、取消に該当するはずなのに停止に軽減される場合というのもあるので、自身の処分を受ける管轄機関の過去の事例を調べるか、運を天に任せるしかなさそうだ。
その後、2日間で12日間の講習をしっかりと終え、90日の免停は45日へと短縮され、45日間一切車に触れないで過ごし(この期間中に運転して免取になる人が非常に多いのだとか。ダメ、絶対!)、晴れて免停期間を満了したのであった。
しかしながら、幸いにして今回免取は免れたものの、長年大きな事故も違反もなく運転生活を送っていたせいで、慢心とも思える状態だったことを再認識した。今後は交通ルールを守り、安全運転に徹したいと思う所存である。
<文/丙午直太朗 取材協力/
内村特殊法務事務所>