※蛭子能収オフィシャルブログより
5月8日に放送された『有吉弘行のダレトク!?』で、「勝ったらダブルで美味しいギャンブル飯ツアー」というタイトルの企画が登場した。ここで大のボートレース好きで知られる漫画家・蛭子能収さんが堂々とボートレース多摩川にて「えびす買い」を披露し高回収を達成、名物の牛炊を堪能していたシーンがあった。
ギャンブル好きの間で、「えびす買い」という言葉は今や専門用語として確立されているといっていい。1つのレースにつき多くの目を購入することを指す「多点買い」と同義なのだが、あまりにも蛭子能収さんが多点買いをするので、いつのまにやらギャンブル用語にまで昇華してしまったのだ。ボートレース界だけではなく、競馬など他の公営競技ファンも当たり前のように使う用語になっている。
ただ、もともと「えびす買い」というのは失礼ながら「バカにする」ニュアンスを含む言い方だった。というのも、予想で絞り込むことができずにいっぱい買うという姿勢は、ギャンブラーとしてかっこ悪いし負け組の典型となっていたからだ。
しかし、2000年10月からボートレースで3連単が導入されてからというもの、徐々にその認識は崩れていき、今では逆に「楽しめる遊び方」として評価が逆転している。
3連単導入を期に見方が変わった「えびす買い」への評価。2連単までしかなかった時代の「えびす買い」では、当たった際の払戻額は(3連単と比べてしまえば)低いため、購入金額を下回る配当、通称「トリガミ」「ガミ」になる機会が多くなる。「ハズレたくない」という弱気な心理での投票が、そのまま勝ち組に利益を吸われるだけの構図だった。
しかし、3連単導入からこの構図はガラリと変わる。30通りの2連単から、120通りの3連単になって蛭子能収さんが躍動するシーンは格段に増えた。「えびす買い」する点数も必然的に増えてしまうのでより酷いことになるんじゃないか? という周りの心配をよそに、蛭子能収さんの舟券での活躍がむしろ増える状況となったのだが、理由はこうだ。
それは購入点数が増えること以上に、払戻額が増えてきた、という点だ。総投票金額から主催者取り分を引いた額を、購入額で分配する方式(パリミュチュエル方式)であるボートレースなどの公営競技において、難易度が上昇した3連単では2連単よりも「人気に投票が集まりやすい」現象がより強くなる。これにより、投票総額が少ない目(穴目)の払戻額が当たった場合の「配当がよりよくなる」という部分を「えびす買い」によってうまくすくい上げることに成功しているのだ。
これは6艇立てのボートレースが特に有効だったことも「えびす買い」の有用性に寄与している。最大18頭立ての競馬3連単で「えびす買い」をやろうと思うと、1点100円ずつの投票であっても莫大な額になってしまうからだ。
つまり、ボートレースにおける「えびす買い」は程々の資金で、長く遊べ、ときに大きな払戻を得られるチャンスを持つ優秀な「ファンドのような技」になって今日に至る。