「部屋片付けなきゃ~……まあでも明日でいいか」が延々と続いていくのには理由があった
こんにちは、空間心理カウンセラーの伊藤勇司です。
先日、TV取材を受けながら「片づけに対するモチベーションを上げるには?」というご質問をいただきました。このモチベーションに関する質問は、一般の方々からもとても多くいただきます。
最初にこのご質問に対する答えを結論からお伝えしていくと、「片づけに対するモチベーションは上げなくていい」ということです。
これはそもそも、片づけに対するモチベーションを上げようとすること自体が、モチベーションを低下させている可能性の方が多いということ。
部屋が片づかない人の多くは、片づけをするためのモチベーションを高めようとします。そしてこれは片づけだけに限らずに、人は往々にして、苦手なことをやらなければいけない状況になった時「苦手なことを克服できるようなモチベーションを先に求める」という発想で動きやすいもの。
この発想こそを見直すことが、モチベーション問題を解決する鍵になっていきます。
モチベーションは上げることが重要なのではなく、【モチベーションが上がる目的を設定する】ことが、重要なポイント。
例えば、モチベーションの上げ方を脇に置いて、少しこんな観点で考えてみましょう。
片づけのモチベーションを上げる。これは角度を変えてみると、【片づけが終わればモチベーションは途切れる】ということです。片づけのためのモチベーションなので、当たり前といえば、当たり前ですよね。
つまり、自分の行動におけるモチベーション維持の到達点が、【片づけを完了させる】という部分にあるということ。
ここを踏まえた上で、さらに違う角度で考えていきます。
野球で例えてみましょう。
「甲子園に出場する」ことをモチベーションに練習している高校球児と、「甲子園で優勝してドラフト1位でプロ野球で入団したのちにメジャーリーグで活躍する」ことを、モチベーションに練習している高校球児では、同じ練習をするにしても、練習に取り組む行動や姿勢が明らかに違うことは想像できるのではないでしょうか。
甲子園出場するために頑張って練習しているのと、甲子園に出場して優勝するのはメジャー入りするためには当たり前だという意識で練習しているのかの違いです。
ダイエットでも例えてみましょう。
単に5キロ痩せるためのダイエットをしている人と、あと5キロ痩せることが、パリコレのスターになる最低条件なのだという意識でダイエットしている人では、どちらが真剣に、そのための行動に取り組むのか。
このことが、片づけのモチベーション設定にもつながるのです。
単に片づけを終えるためだけの目的意識は、「片づけができたらいいな」という、弱い動機(目的意識)を生み出します。
これが例えば、「片づけをしたプロセスをリアルに記録した本を出版することで、ベストセラー作家となって印税生活をする。」という目的意識があるとしたら、前者よりも明らかに片づけに対する行動が変わるのが、誰でもイメージできるのではないでしょうか。
こういった形で、何かを成し得るためのモチベーションが欲しいと思うならば、それができるようにするためにモチベーションを上げていくのではなく、『それを成し得ることは当たり前になるような』目的意識の設定をしていくことが大切なのです。
そもそも、片づけを完了させることが、人生の目的である人は一人もいないはずです。片づけはあくまでプロセスであり、そのプロセスの先に得られる何かが、その人にとって大切なポイント。
モチベーションが続かないと悩んでいる人のほどんとは、持続力がないのではなく、モチベーションを生み出すための目的意識が弱いのです。