部屋が片付かないのはモチベーションではなく、〇〇が原因だった
一つ、こんな単純な例をご紹介しましょう。
以前、片づけができないと悩む30代前半の女性がいました。そこで僕に個人セッションを申し込もうとされていたのですが、少し話を伺っていると、そこまでしなくてもいいなと思ったので、
「今から一週間後に、友達を家に呼んでください」と提案をしてみました。
そうお伝えした理由は、その方の家が片づかなくなったタイミングが、彼氏と別れてからということ。そして彼氏と別れて以来、家には誰も入れたことがないということが分かったからです。
さらに、一つ条件を付け加えました。
「片づけができないままで良いので、友達を呼んでくださいね。今まで通り、何もしなくていいので、そのままの状態で友達を呼んでください」
そうお伝えし、その場で仲が良い友達に連絡していただき、一週間後に家で会う約束をとっていただきました。
そして、「片づけを一切しなくていいので、一週間後に友達と家で遊んでみて、何を感じたかを教えてください」ということだけをお伝えして連絡を待つことにしたのです。
すると、一週間がたたないうちに、その方から連絡が入りました。
「伊藤先生、実は、謝らないといけないことがあるのでお電話しました……」
何やら、後ろめたいような口調です。
「何か、あったのでしょうか?」僕がそう切り返すと……
「実は、家を一切片づけないままで友達を呼んでくださいと言われていたのですが、友達が来ることを考えたら、いてもたってもいられなくなって、家を片づけてしまいました……(苦笑)」
とのこと。
その方は、彼氏と別れて3年間ずっと、片づかない状態にあり、片づけ本を読みあさって、数十万円するモチベーションアップセミナーなどにも通われていた方でした。
それでも、うまく行動ができずに、モチベーションが低い状態でいたのが「片づけをしないまま、家に友達を呼ぶ」という状況になった途端、悩みに悩んで出来なかった行動が、自然にできるようになっていきました。
これが【目的を設定する】と、結果的に行動に対するモチベーションが上がっていく一つの具体例です。
あなたがもし、モチベーションが上がらないと悩むことがあるなら。気持ちではなく、目的に原因があるかもしれません。
<文/伊藤勇司>
日本メンタルヘルス協会カウンセラー。引越業に従事していた頃、「部屋と心の相関性」に着目し、1000軒以上の現場をもとに独自の「空間心理」理論を確立。片づけの悩みを心理的な側面から解決する「空間心理カウンセラー」として2008年に独立。セミナー、講演、セッションを、これまで約10,000名に実施。クライアントは主婦から企業経営者、作家などまで幅広い。著書に、最新刊『
座敷わらしに好かれる部屋、貧乏神が取りつく部屋』(WAVE出版)10万部を突破中の『
部屋は自分の心を映す鏡でした。』(日本文芸社)。
空間心理カウンセラー・伊藤勇司公式ブログ
https://ameblo.jp/heya-kokoro/