タイ駐在員妻たちが夫に内緒で行う危険な「ビジネス」
実はタイでの邦人犯罪被害は多くが日本人からの詐欺であるとされるほどであり、不良日本人による詐欺事件が多い。詐欺は証明するためには膨大な証拠と、それを裏付けるための長時間作業が必要で、泣き寝入りするしかないこともよくある。肉食日本人悪女も、そうしたことを把握した上で牙をむくのだ。それもかなり用意周到なのだと、日本人会社員Sさんは言う。
「日本人が多いスクムビット通りにあるカフェでまずはお茶をするのですが……」
夫に見つからないのか、あるいはほかの顔見知りに会ってしまうのではないか。そこは用意周到というか、女性らしいテクニックがある。
「周囲の席には同じ駐在で帯同してきている、バンコクの友人がいるんですよ。ママ友みたいな感じですかね。実はひとりで声をかけているように見えて、最初からグループでターゲットを狙っています」
あとは逐一ふたりでいる様子を盗撮し、頃合いを見計らって本件に突入する。ベッドインがある場合ない場合もあるようで、とにかく彼女たちが行動に移せる段階に状態がセットアップされれば動き出す。日本人社会は狭く、脅されれば応じるしかないケースが多いと日本人会社員Sさんは言う。
「既婚者ならば会社や奥さんに言いつけると言うわけです。大なり小なり、タイ国内にある企業はなんらかしらどこかで繋がっていますし、奥さんもネットワークによって顔が知られていることもあります。知人の知人の知人くらいまで辿れば、タイ在住すべての人に繋がるほど、バンコクの日本人社会は広いようで、狭いですからね。独身なら取引や出世に影響が出ることをほのめかします。日本人学校の人間関係でさえ親の役職などが影響していると言いますから、タイの日本人社会は怖いものです」
そうなると、しっかりとした地位あるいは身分が確立されている人には支払いに応じる以外、家族や会社に迷惑をかけない方法がなくなるのだ。
もちろん、これはあくまでも一部の話で、多くの駐在員の配偶者女性は子育てなどに忙しく、また趣味に没頭するなど健全な生活を営んでいる。筆者の周囲にもたくさんの在住日本人女性がいるが、知る限りで悪いことをしている人はいない。若くして駐在員の妻としてバンコクに来たものの、タイで離婚してしまった人もいた。なんとその女性は帰国せず、ひとりでバンコクでがんばっている。だから、そんな人ばかりではないのだということは付け加えておきたい。
ただ、タイでうっかり日本人女性にナンパされたと思ったら思わぬ被害に遭う可能性もあるので、用心はすべきだろう。
ちなみに、筆者自身も、「囮」となって取材してみようと、S氏から聞いたスポットに出向いてみたが、誰にも声をかけられることはなかった……。
<取材・文・撮影/高田胤臣(Twitter ID:@NatureNENEAM)>
狭すぎるタイの日本人社会で被害者も泣き寝入り
(Twitter ID:@NatureNENEAM)
たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など
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