「ピッチャーは走り込め」論は完全に時代遅れなのでいい加減やめるべき理由
先日、エンゼルスの大谷翔平が足を捻挫した。するとまた、球界のご意見番こと張本勲氏が『サンデーモーニング』(TBS系)内で、走り込み不足が原因だと指摘した。
まただ……。長い距離を走り込むことで実戦向きの筋肉がつき、怪我のリスクも減る……。そんな効果があると言われている走り込みだが、正直な話、完全な時代遅れ。同じくメジャーで活躍するダルビッシュ有選手も否定的な見解をツイートしている。
無論、日本だけではなくアメリカで議論にはなるようだが、フィットネスやコーチング系の専門家によれば、否定的な意見がほとんどだ。
アメリカのトレーナーでありプロ野球選手への指導数も多いエリック・クレッシー氏は、自身のサイトで「ピッチャーは長距離を走るべき?」と疑問を投げかけている。
同記事では、長距離ランニングと走らない状態での有酸素運動が投手に与える影響を比較した修士論文を紹介しているのだが、その論文によれば、走り込みとスプリントを行っていた投手を比較した場合、シーズン中にスプリントを行っていた投手の下半身の力が大きく向上したのに対して、長い距離を走り込んでいた投手の場合は低下していたという調査(*1)もあったとしている。一方で、長距離ランニングを行っていた投手と、その場で有酸素運動を行っていた投手の間には、ほとんど違いがなかったという。つまり、“走り込みでしか鍛えられない”という考えは根拠がないということだと指摘している。
ベースボールアカデミーも運営している「TEAMSトレーニングセンター」も、「長い距離の走り込みはパフォーマンスを高めない」とバッサリ。その理由を次のように説明している。(参照:「Should Baseball Players Run Long Distance?」)
・走り込みは関節に負担がかかるため怪我に繋がる可能性がある
・投球の際はお尻の筋肉に負荷がかかるが、走り込みではほとんどその筋肉を使わない
・投球後はほとんど乳酸が蓄積されないので、走り込みをしても意味がない
野球に特化したトレーニングキャンプ運営などを行う「TOPVELOCITY」に至っては、「長距離にNOと言おう」と走り込みを完全否定。投球は瞬発力を使うため無酸素運動に近いとしている。ゆっくりとしたペースで長時間トレーニングした場合、筋繊維が有酸素運動向けになってしまうというのだ。その代わりにスプリントなど爆発力を活かす運動を取り入れ、各セットの間で2~3分休むことで、体が無酸素運動に適応していくと主張している。
走り込みは投球パフォーマンスに影響なし
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