前川喜平・前文科事務次官が警告「いま日本は、ファシズムの入り口に立っている」
前川喜平・前文科事務次官は4月15日、尾道市で行われた講演会の後、森友学園の決裁文書改竄について記者の質問に答え、「何らかの外部の力、官邸から何らかの圧力があったと考えれる。例えば、今井尚哉首相秘書官が指示したということは十分に考えられると思います」と語った。
――森友学園の決裁文書改竄について、官邸から何らかの圧力があったと考えられますか。
前川:こういったことが霞ヶ関のあちこちで起こっています。名古屋の中学校で私が授業、講演をした内容について文科省が「調査」を行いましたが、これは「自らの判断で行った」と、いまでもそう説明している。しかしこれは「自民党の文教関係の重要なポストを占めている人(=自民党文科部会長の赤池誠章・参院議員と部会長代理の池田佳隆・衆院議員)が指示、それに基づいて行った」ということはもう明らかです。
明らかであるにも関わらず、「その人たちは関係ない。役人たちがやったことです」と説明しようとしている。これはイジメの構図に等しい。イジメられた子供はイジメられたことを言わない。『階段から自分から落ちて怪我をした』と言う。そういう構図によく似ていると思います。
公務員は全体の奉仕者。いま、官僚の矜持や使命感がものすごくズタズタにされて、貶められている状況にあります。『官僚組織が腐敗・劣化した』のではなく『歪んだ政治によって、公正公平・中立透明であるべき行政が歪められた』という非常に由々しき事態ではないかと思うのです。行政の劣化とか腐敗と呼ばれる状況は、政治が変わらなければ。政治の責任です。
――その背景にあるものは何でしょうか?
前川:非常に大きな構図でいえば、「全体主義に向かって国を変えて行こう」とする勢力があるのだと思います。「政治を牛耳り、行政も牛耳る」という状況にあると私は危惧をしています。自由に物が言える状況が失われてしまうのではないか。そういうことが起こりうると思います。
いま世界中で独裁政治が出現しています。中国もロシアもそれに近い状態になっている。「歴史は繰り返す」といいますが、1920~30年代の歴史を学ぶことが重要です。大きな意味でいうと、全体主義の方向を目指している人たちが、何が何でもその権力を維持し、強めていこうとしている。その流れの中で、権力の私的乱用も起こっていると思う。
米国のホロコースト記念館に『ファシズムの14の初期警報』(※文末に詳細)というのがあるのですが、この14項目のうち11か12ぐらい(今の状況は)当てはまっているような気がします。軍事や安全保障をことさら強調し、権力の縁故主義、つまり“お友達優遇”がはびこっている。私は、いま日本はファシズムの入り口に立っていると思います。そっちに行くのか、そうでない方向に行くのか。もう一回、この社会を立て直していけるのか。我々が試されているのではないかと思います。
政治が、官僚の矜持や使命感をズタズタにしている
全体主義への流れの中で、権力の私的乱用が起きている
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