死期を迎えた資本主義。先進国での格差拡大は必然

水野和夫氏

水野和夫氏

 実に700ページにも及ぶトマ・ピケティ氏の著書『21世紀の資本論』が世界的ベストセラーとなっている。ピケティは、格差拡大は資本主義に内在する必然だと膨大な税務統計から実証した。一方で格差拡大が「なぜ」起きるのかを解き明かしたエコノミストが日本にいる。『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社)の著者、水野和夫氏だ。

「資本主義とは、15%の『中心』が残りの85%の『周辺』から利益を吸い上げ、『利潤』を蓄積していくというシステム。先進国は国外の新興国に『周辺』を求め、資源を安く買いたたき、工業製品を高く売りつけることで『利潤』を上げてきた。ところが、新興国が力をつけた今、国外の『周辺』からかつてのような利潤を得ることは不可能になり、無理やり、国内の人々から搾り取るしかなくなってきた。アメリカのサブプライムローンしかり、日本の非正規雇用しかり、です。

 利潤の獲得が困難になったこと示すデータが、資本利潤率とほぼ同じに推移する国債金利です。日本を先頭に、先進国の国債金利が軒並みゼロに近づいている。つまり、投資をしても利潤の得られない時代=資本主義の死期を我々は迎えようとしている。

 利潤を求め続けることこそがすなわち資本主義。しかし、利潤獲得のための空間が消滅し、資本主義が終焉の危機を迎える今、格差拡大という資本主義の必然的な痛みが、先進国の我々にも降りかかってきているのです」

【水野和夫氏】
証券エコノミスト、内閣官房内閣審議官などを歴任した後、日本大学国際関係学部教授。著書に『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)など

取材・文/斉藤武宏 イラスト/仲野ひかる グラフ/圓谷清和 写真/TT News Agency/アフロ
― ピケティ『21世紀の資本論』丸わかり解説【6】 ―


21世紀の資本

格差をめぐる議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー

資本主義の終焉と歴史の危機

日本再生のための道を提言

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