一般層へのウケ狙いを「媚び売ってんな」と言ってた奴は消えてった。「ダメリーマン成り上がり道」#4
お客さんがほぼゼロだったMCバトルの大会を、Zepp DiverCity Tokyoが満員(2500人)になるほどまでに大きくした『戦極MC BATTLE』主催・MC正社員。連載『ダメリーマン成り上がり道』の第4回は、彼が大会を大きくする過程で仕掛けた、様々な試みを紹介する。
『戦極MC BATTLE』の前身大会『戦慄MC BATTLE』の運営に関わっていた‘09年当時、MC正社員はまだサラリーマン。営業に出ている日中は、仕事をサボりつつ運営関係の業務をこなし、夜はクラブに出向いて出演者を勧誘していたという。
「その頃、当時からバトル界隈で有名なラッパーだったMETEORさん(メテオ)と知り合ったんです。そのMETEORさんや、SIMI LABのOMSB(オムスビ)も出ていた『カニカップ』という大会には俺も出場していて、METEORさんにムチャクチャ悪口を言ってキレられたりしていました(笑)。でも、そこから仲良よくなって、一緒に新しいイベントをやるようになったんです」
MC正社員が新しいMCバトルのイベントを始めたことには、ひとつ理由があった。当時、彼が運営に関わっていた『戦慄MC BATTLE』の主催者はダンサーのDJ会長。そのため『戦慄MC BATTLE』はダンスとMCバトルが混在したイベントとなっており、「ダンスの時間にはラッパーが会場からいなくなり、ラップの時間にはダンサーがいなくなる状況だった」そうだ。
「俺は、MCバトルはラップをあまり知らない人にもウケるコンテンツだと思っていました。だからダンサーの人たちも楽しませる方法を考えて、そこで思いついたのが『女性口説きMC BATTLE』でした」
「女性口説きMC BATTLE」とは、2人のラッパーの間に女のコが座り、それぞれがラップで彼女を口説くという変則的なMCバトル。たしかにこの見せ方なら、ラップやMCバトルに興味がない人が見ても気軽に楽しめそうだ。
「それでMETEORさんにアイデアを話したら、『それ、おもしろいからやったほうがいいよ!』って言ってくれて。1回目には本人も出てくれたんです。そのラップも完璧だったし、大会自体も評判になり、ヒップホップウェブサイトの『Amebreak』が番組にしてくれました。この『女性口説きMC BATTLE』が、自分が初めて外部の人に評価された大会でしたね。『戦慄MC BATTLE』も、おもしろがってくれる人はいましたけど、基本的には内輪の大会でしたから」
ひとえにヒップホップイベント、MCバトルのイベントと言っても、訪れる客はさまざま。客層のニーズに応じたイベントの展開を考えたのだ。
ラップに興味がない人を楽しませる方法
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