「何笑ってんだ、コラ!!」と怒鳴る前に、確認すべきこと
顔の隙間から真の感情が漏洩している例
しかし、部下の表情をよく観てみて下さい。
笑顔の隙間から真の感情が漏洩していませんか?一見、笑っているように見えても、下唇を噛んでいる、眉毛がハノ字になっている、額に波状のしわが形成されている、眉が引き上がりながら下まぶたが緊張している、眉間にしわが形成されていませんか。それぞれ順に、悔恨、悲しみ、恐怖、恐怖、怒りor熟考を意味する表情です。
そんなときは、部下にどんな気持ちか直接聞いてみましょう。
今のあなたの感情、今回の仕事のミスについてどう感じているのかと。それから、今後、ミスをしないようにするにはどうすればよいだろうかと。
部下の笑顔に感情的に反応してはいけません。またすぐに諭そうとしてもいけません。まずは部下の感情を受け止める、それから理性に訴えかけましょう。
感情の置き所がない状態―つまり、自己調整機能を働かせている状態―では、部下は感情に支配されているため、あなたの理性的な言葉は耳に入らないのです。
そして、ネガティブな場面での「笑顔」は人に誤解を与えると伝えてあげましょう。自分の表情グセというものは自分で気づきにくいものです。
部下の感情を整え、適切に管理できる情と理を兼ね備えたリーダーが職場の空気をつくると言っても過言ではないでしょう。
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参考文献
Ansfield, M. R. (2007). Smiling when distressed: When a smile is a frown turned upside down. Personality and Social Psychology Bulletin, 33, 763-775.
【清水建二】
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『
ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『
「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『
0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)がある。