世界中の富裕層が熱視線。ポルトガル経済回復の原動力となった「ゴールデン・ビザ」政策とは

富裕層にとっては大きい「ゴールデン・ビザ」のメリット

 ゴールデン・ビザの最大のメリット、それはゴールデン・ビザの取得者は外国からの入金に対してそれが如何なる名目であれ課税の対象にはならないことだ。つまり、外国人富裕層がポルトガルに資金を持ち込む場合はタックスヘイブンになるというわけだ。  つまり、このゴールデン・ビザを活用すれば、本国で何らかの金銭を得る手段を確立している富裕層は一銭も税金を払わないで済むことも可能になる。例えば、ある英国人が英国で得た配当金に対し、英国では本人が英国に居住していないということで課税の対象にしない。そして本人が居住しているポルトガルでは、英国が徴税する権利を有しているということで課税の対象にしない。結局、本人は英国でもポルトガルでも税金を払わないで済むということになるのである。  この特典を利用して、既に5000人がゴールデン・ビザを取得している。このプランの実施によって外国から入って来た資金の総額は25億ユーロ(3250億円)になるという。(参照:「Libre Mercado」)  また、年金受給者の場合、ポルトガルの銀行に預金するだけで、本国から送られる年金が課税の対象にならないという利点もある。この対象になるのはEU諸国以外に米国、ブラジル、日本とも合意が結ばれているとしている。(参照:「La Voz de Galicia」)  もちろん、例外もあり、ポルトガルがタックスヘイブンの国と見做しているバルバドス、香港など15カ国からの入金の場合は課税の対象になるとしている。(参照:「LIBRESTADO」)  そして、在住6年でポルトガル国籍の取得もできるようになるが、一旦それを取得するとポルトガル人ということになってしまい、これらの外人に与えられている全ての特権を失う事になる。
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マドンナら有名人も「ゴールデン・ビザ」活用
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