部屋を整理したら「もしドラ」が大ヒット。岩崎夏海氏が説く“ヘヤカツ”の勧め

もしドラ著者・岩崎夏海氏

部屋を整理する事で人生を変える「ヘヤカツ」を提唱するもしドラ著者・岩崎夏海氏。そこには、自身の実体験が反映されているという

「整理された部屋と、いいアイデアを生む洗練された思考には相関関係がある。ぜひ部屋を片付ける“ヘヤカツ”をお勧めます」  と説くのは、280万部を超える大ベストセラーとなった「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)の著者として知られる岩崎夏海氏。  かつては寝室まで大量の本があふれるようなモノに囲まれた生活を送っていたが、「引っ越しを機に必要なものしかない部屋に住んだことで、『もしドラ』を生み出すなど、仕事がうまくいくようになった」と人生が激変したことを明かす。  現在、余計なものを置かないことで部屋を活かす「ヘヤカツ」を提唱する岩崎氏が、部屋と思考の相関関係に気づいたのは2005年のこと。放送作家として下積み時代を過ごしていた当時は、東京郊外の実家である一軒家に一人で住んでいたが、師匠の秋元康氏に「すぐに動ける場所に住んでいないとダメだ」と言われ、渋谷の18㎡のアパートの一室に引っ越したことがきっかけだった。 「当時はまだお金がなかったので、ユニットバスの小さな部屋しか借りられず、仕方なく必需品だけを持っていったのですが、これが結果的に良かった。“いつか片付けなければ”というストレスから解放されたことも大きかったですね。それまでは毎朝、家を出るときに散らかった部屋を見ては気持ちが重くなっていましたが、後ろめたい気持ちから一日が始まるのは精神的にもマイナスです。前だけを向くようになった結果、とんとん拍子に仕事がうまくいくようになりました。『もしドラ』の企画が浮かんだのもそのすぐ後です」  いいアイデアを生みだすためには記憶力が重要になるが、岩崎氏は「多くの人が記憶力は覚える能力だと思っていますが、それだけでは足りない」と話す。 「“思い出そうとしたけど、思い出せない”なんてことがよくありますが、適切なときに、的確なことを思い出す能力の方が大きい。部屋の中で探し物をするのと、記憶を引き出すことは実はよく似ている。記憶にも限りがあり、混濁していると役に立たないものです。経験則から、部屋を片付けることは、脳を整理することにも繋がっていると感じています」  部屋の中で探し物をした経験は誰もがあるはずだが、 「必要のないものがたくさんあるから、大事なものが見当たらなくなるんです。僕もかつては、いつか必要になるとクリップやクリアファイルを捨てられずにいたら、ものすごい量に膨れ上がっていたことがありました。こうした死蔵されているものを捨て、部屋から無駄を省くことが大切。“いつか使うかも”というものは絶対に使わないので、今すぐ捨てるべきです」  と話す。
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何でも溜め込む思考が貧乏に繋がる
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