増加中の新型タクシー専用車「ジャパンタクシー」、現場から聞くトホホな感想

※写真のタクシー会社と本文とは関係ありません photo by Ypy31(Public Domain)

 最近、街中でしばしば、イギリスのブラックキャブのようなタクシー車両を見かけることが多くなった。  実はあれ、2017年10月に販売が開始された、トヨタの「ジャパンタクシー」なのだが、タクシー各社の導入が進んでおり、着々と増加しているのだ。  タクシー業界とトヨタのつながりは、実は日本のタクシーの歴史と同じくらい長い。なんと1936年にトヨダAA型(発売開始時名称。その後トヨタAA型と車名変更された)がタクシーとして使用されたことに始まり、一時期は日本のタクシーの8割をトヨタの「コンフォート」が占めるなど、タクシー業界にとってトヨタは大きな存在だった。  そのコンフォートから22年ぶりとなる新型車であり後継車種となるのが、前出の「ジャパンタクシー」である。  ジャパンタクシーのお披露目時には、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長(日本交通会長)が「(2020東京五輪時には)東京を走るタクシーの3台に1台をジャパンタクシーにして乗客をお迎えしたい」とコメントするなど、今後もどんどん増加していくことが予想される。同車の「出発式」にトヨタの豊田章男社長が語った「このタクシーで東京の街から日本の風景を変えたい」という言葉が現実のものになる日もそう遠くないことになりそうだ。

最先端技術搭載の「ジャパンタクシー」

 さて、その「ジャパンタクシー」、プラットフォームとして利用しているのはコンパクトミニバンのシエンタで、そのためミニバン並みの車高の広さを実現している。その高さは従来のコンフォートが150cmに比べ、175cmとかなり高くなっている。これがロンドンのブラックキャブ風に見える大きな要因だ。  また、この高さゆえの広めの空間は、ユニバーサルデザインタクシー認定基準をクリアしており、車椅子使用者や足腰の弱い高齢者、ベビーカー利用の親子連れなどにも優しいことを謳っている。  さらに電動スライドドアとなっており、乗降時に開口部を大きく取らなくても乗り込みやすくなっている。  最先端技術も搭載されており、レーザーレーダーと単眼カメラを併用した検知センサーを駆使した「プリクラッシュセーフティシステム」を搭載。また、道路上の白線(黄線)をセンサーで認識し、ウインカー操作なしでドライバーが車線を逸脱しそうなときに警報を鳴らしてくれる「レーンディパーチャーアラート」なども搭載。事故の回避や衝突被害の軽減をサポートしてくれる。  タクシーとしての燃費性能や耐久性能も、燃費(JC08モード)19.4km/Lと、従来車のコンフォートが約10km/Lだったことを考えてもかなりの高コスパ。足回りやエンジンのヘッドやバルブも専用設計で耐久性をアップしている。  実際に乗ってみると、確かに足元も広く、大柄な記者にとってもかなり快適だ。後部座席に大人3人乗ればかなり窮屈だったが、これならば比較的余裕もありそうだ。  また、ブラックキャブ風の見た目はどことなくレトロで、個人でも買いたいというニーズも出てきそうなデザインでもある(※個人でも購入可能)  最新車種だけに、これからタクシーのスタンダードとしてますます普及していく可能性に満ちているといえるが、実際に運転しているタクシードライバーからすると、あまりいい評価がないのだ。
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現場の声は不満多し!?
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