H&Mの不良在庫は4550億円分!? 不振の理由はネット炎上だけじゃない

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 ZARAに次ぐファストブランドとして勢いを誇っていたH&Mが不振に喘いでいる。  スペインのファッション情報電子紙『Trendencias』が4月3日付けに報じた記事によれば、H&Mは、現在世界アパレル業界2位に位置しているものの、売れない衣類が43億枚あるという。また、同日にはスペイン電子紙『OKDIARIO』も、H&Mが自社商品35億ユーロ(4550億円)分を在庫として抱え苦しんでいると伝えている。  その惨状たるや、前出の「Trendencias」紙は、ヴェステロースの本社のエネルギー消費源として売れない衣類を燃料として燃やしていることや、この驚愕的な在庫数量からH&Mのファンにとって驚異的なバーゲンセールが期待できるかもしれないと皮肉混じりで報じているほどだ。

立ち遅れていたオンライン対応

 H&Mの販売が最近不振であることはアパレル業界でも良く知られていた。その要因は、人種差別問題での炎上によるイメージダウンなどもあるが、最大の要因はオンラインによる販売の遅れがそのひとつだとされている。この遅れが要因となって、米国Amazon、ドイツZalando、英国Asosなどの世界規模のオンラインを専門にした販売ネットに市場を奪われているのである。  20年ほど前は年間で500店舗を開設するといった多店舗化がH&Mの販売を伸展させていた。このポリシーが基本になって、現在69カ国、4700店舗を構えるまでになっている。しかし、最近の消費者は店を訪問するのではなく、オンラインで買い物をする傾向になっている。  例えば、ZARAを含めたグループインディテックス(Inditex)ではオンラインによる販売は同社の全売上の10%を占め、2017年はその前年比41%の成長をさせている。2011年に試験的にオンライン販売を始め、その翌年から本格的に始動させた。そして、今年1月にはロンドンでオンラインを専門にした店も開設している。(参照:「OK Diario」)
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