プッチェモンがドイツに入って、およそ50km走行した時点でサービス・ステーションで給油していた時に連邦警察は近づいてプッチェモンを拘束した。その後、ドイツ北部のシュレウィヒ・ホルシュタイン州の刑務所に拘束され、ドイツの同州検察当局は彼の身柄を反逆罪と横領罪でスペインに引き渡すように同州の最高裁に要請した。あとは同州の法廷での判事の決定に委ねられることになっていた。
ところが、同法廷はスペイン最高裁から彼を反逆罪での身柄の引き渡しの要請を却下したのである。同法廷ではドイツの刑法に照らした場合に反逆罪の判決を下すには動乱にでも匹敵するような乱暴な行動があったということが裏付けとして必要で、その形跡はプッチェモンに関わっては存在しなかったという判断なのである。横領罪での容疑の場合は審査の余地ありとした。
この決定はスペイン最高裁では全く予期していなかったことであった。
スペイン最高裁では、罪状の内容詳細については国によって異なっており、同法廷の3人の判事はそれをドイツの反逆罪に照らし合わせてただけで、スペインで反逆罪の内容及びそれに則って訴追したスペイン最高裁の意向が全く反映されていないとした。最高裁のリャネラ裁判長は今回のドイツ法廷の判決を不服として、欧州司法裁判所(ECJ)に最終の判断を仰ぐ為の手続きを取る意向のようだと予測されている。そして、欧州逮捕状を取り下げる意向のようだ。一旦、ECJが審査するようになると、その判決が下さっるまで、ドイツの法廷もその後の判断を保留にせめばならなくなる。(参照:「
El Confidencial」)
プッチェモンがスペインで反逆罪で裁くことが出来なくなると、現在スペインの刑務所に反逆罪で収監されている前閣僚らへの裁きに大きく影響することになる。
<文/白石和幸>