公文書改ざんの重みと、国家の重みが理解できない安倍首相――福島のぶゆき×菅野完対談(後編)

※2018年4月13日追記 対談の動画版⇒<動画>福島のぶゆき☓菅野完対談「安倍夫妻によって国家はどこまで壊されるのか」特別公開しました!(HBO編集部) 「私や私の妻や私の事務所が関係していたら、総理も議員も辞める」――安倍総理の口からこの衝撃的な答弁が出た瞬間、森友問題は一気に政局化した。なにせ総理が自分の首を賭けるというのだ。  この答弁は単に森友問題を政局化させただけでなく、ここ数回シリーズで検証するように(参照:「政権の『佐川主犯』物語に終止符! 一年前のある発言から明らかになる『綻び』」、「<森友問題>やはり改ざんは2月17日からだった!『酒井弁護士、あなたは嘘を“つかされて”いる』」)、公文書改ざんの契機になった可能性が極めて高い。まさにこの「2017年2月17日安倍晋三答弁」こそが「全ての始点」と言えよう。  前回「安倍夫妻によって国家はどこまで壊されるのか――福島のぶゆき×菅野完対談」に引き続き、この答弁を引き出した福島のぶゆき氏(当時民進党衆議院議員・現在落選中)をお招きし、あの当時の国会論戦の様子、そして今後、野党は森友問題に関しどのような戦略をとるべきか、忌憚のないご意見をうかがった。

福島氏(左)と菅野氏

福島のぶゆきは官邸に狙われたのか

菅野:重要なことなので、去年10月の解散総選挙の茨城一区について、ちょっと振り返っておきたいと思います。福島さんは惜しくも落選となったわけですが、僕が取材した結果を見ていると、茨城一区は極めて熾烈な戦いでした。解散2日目に安倍晋三も来ましたし、創価学会の原田会長も水戸に来ました。これは異例中の異例のことです。 福島:石破さんは2回、小泉進次郎に、公明党の石井国土交通大臣……創価学会の会長までが来たのには驚きましたが、とにかくいろいろな人が来ました。 菅野:オールスターキャストですね。 福島:片山さつきさんも来ていましたね。 菅野:それはあまり大物じゃない(笑)。しかしあの選挙はあちこち取材しましたが、あれほど錚々たるメンバーが揃ったのは茨城一区くらいです。こうしたメンバーを見ると、政権側は確実に、あの2月の答弁もあって、福島さんを屠りに来ていたかのように見えます。 福島:そうですね。やはりそれはあると思います。森友問題の前は、安倍政権がこんなふうになるとは、誰も予想していなかった。支持率は6割くらいあって順風満帆、向かう所敵なし。どこまで首相在任期間を伸ばすのか、桂太郎を超えるだろうなどと言われていました。 去年、森友問題を私が質問したときも、まさか総理がこうなるとは思っていませんでした。都議選に負ける寸前は支持率が3割を切る調査もあって、都議選で惨敗。あのとき国会で見る限りお体も悪そうでした。安倍総理は、なぜこんな森友のような問題で自分は躓かなければならないのか、これだけ外交で頑張ってサミットでも自分が中心になっているのに、なぜこんな目に遭うんだろうと思っていただろうと思います。 もう一つ、加計問題と森友問題は似たような問題でありながら、加計は前川さんが告発してもいまいち盛り上がらなかった。しかし、あんなおっさんに振り回された森友問題は、1年たってもしつこく続いている。「誰だ、この騒ぎを続けているやつは。福島じゃないか。あいつは役所の内部の情報もわかっているじゃないか」という話が出ていても不思議ではない。 正直いってこの森友の話も、財務省も含めて情報をとれるいろいろなルートがあります。メディアにも多少ルートを持っています。普通に予算委員会で目立って追求するだけだったらすぐに消える話ですが、なかなか消えないのは、福島のせいじゃないか、というのがあったと思います。総理よりもむしろ、総理のまわりがそう思ったのではないでしょうか。 菅野:なるほど。 福島:以前私は、メディア対策を今井秘書官から見よう見まねで教わりました。当時、通産省の大臣官房で今井さんと働いているとき、彼はこういうことを言っていたのです。「新聞は読むものではない、書くものだ」と。役人というのは、新聞の紙面を取って、書かせて世の中の世論を作って動かすのが仕事なのだ、読んではいけない、書くものだと常に言っていました。 一週間のカレンダーを見ながら、「この日、この新聞の一面が空いているから、ここにこのネタを出して書かせよう」といったことをやっているのをずっと見てきたのです。それで、おそらく向こうは、私がそういうのを見ながらやっているのを薄々感づいているのでしょう。それで、私を潰せば森友の問題はなくなると思った。だから私が落ちたあとに、また情報を小出しに出し始めましたよね。 ただこれは、私が自分のことを買い被り過ぎかもしれないし、そうではないかもしれない。しかしながら要注意人物だと思われていたのは確かだと思います。 菅野:いろいろな人から、あの茨城一区はすごい選挙だったと聞くのですが、でも結局、福島のぶゆきを国会から排除してもこうなっているという。 福島:それはきっと、お天道様は見ているということでしょうね。
次のページ
「国家の重み」を理解できない安倍首相
1
2
3
4
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会