菅野:市民の皆さんはいま、官邸前や各地の税務署、都道府県庁舎で抗議活動を行っていますが、そうやって地べたから市民の声もあがっています。さきほど、福島さんがおっしゃったように、野党は昔の国体政治をやって与党と握れという話になりますよね。
福島:それはちょっと表現が悪くて、与党が動かないと安倍総理の首に鈴を付けることはできないのだから与党にもきちんと働きかけろということです。
菅野:よくこういうインタビュー構成だと、政権はもってどれくらいでしょうか?みたいな愚劣な質問が出るのですが、何か決め手にかけるような気がしてなりません。
福島:それはおそらく、安倍総理が一発逆転を狙っていて、日朝首脳会談を模索しているからではないでしょうか。たとえば拉致問題を、さまざまなことを譲歩してでも解決の糸口を掴んで解散するとか。やはり、総理が解散すればするほど権力が強まります。
菅野:選挙に勝ってしまいますからね。
福島:これだけ大きな問題が起きたといっても、選挙をしてまた与党が勝ったら全部チャラになってしまう。そうすると、解散を打つタイミングを狙ってくるわけです。一つ考えられるのは日米首脳会談でアメリカに行って、北朝鮮との関係で共同歩調をとったうえで、日朝首脳会談をやって拉致問題解決の糸口をつけて、その成果をもとに解散をする。そういうことを当然狙ってくるはずです。それで選挙をしたら、このまま自公は再び圧勝すると思います。そして今までのことはチャラになる。
菅野:そうならないためにも、これからますます戦い方に工夫が必要ですね。
福島:しかし解散を恐れるとまた足元を見られます。みんなそうなったら負けるとわかっている。だからといって解散まで追い込まないで、安倍さん辞めろと安全なところから叫んだって、何も変わらないですよね。
菅野:楽観的にはなれないのは当然として、そう絶望する局面でもないとは思うのですが、深刻な事態であることには変わりない。
福島:ほぼ詰んでることは詰んでいます。で、もう切るカードはない。佐川国税庁長官が辞めたから、あとは財務大臣が辞めるか総理大臣が辞めるか、です。内堀も外堀もほぼ埋まっている状況です。麻生さんが辞めれば、ほぼ安倍政権の屋台骨がガタガタに崩れて終わるでしょう。ですから、そういう意味ではもうほぼ詰んでいると言っていいとは思いますけれど。
菅野:でもこれからますます目が離せない。おそらくあの福島さんが水戸から東京に出てきているというだけでも戦々恐々とする人も多い中……
福島:私は一水戸浪士ですから、こんなことしていないで地元回ってますよ、(笑)
<取材・文/菅野完 撮影/菊竹規>
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『
日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。現在、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中。また、メルマガ「菅野完リポート」(
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