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昨年9月に州議会で独立の為の法案が批准、10月1日にスペイン憲法に背く非合法の住民投票が実施され、独立宣言をしたカタルーニャだが、日本のメディアで現在の状態を報じるところは少ない。
果たしてどうなっているのかというと、何度か私の過去記事でも報じてきたように、独立宣言をした時点からカタルーニャの企業が州外に本社を移転させるという動きが活発になり、いまや、「カタルーニャ州が今後も独立を主張して行く限り、カナダのケベック州のように経済発展が他州に比べ遅くなっていくだろう」という見方が高まっている。
カタルーニャ州外に本社機能移転をいち早く決断したのは、カタルーニャで誕生していた銀行であった。彼らにとって、カタルーニャが独立すればEUから離脱を余儀なくさせられることになる。即ち、それは欧州中央銀行の傘から出なければならなくなることを意味するもので、孤立化したカタルーニャで銀行が発展する可能性はゼロとなるからであった。
銀行に続いてカタルーニャに本社を置く大手企業も移転を開始した。そして、現在までに3500社近くの企業がカタルーニャから本社を他の自治州に移転させた。本社が移転すれば何れ従業員の移動も生じるようになる。この独立運動が長引けば長引く程、カタルーニャ経済は深刻な打撃を受けることになる。
昨年10月からカタルーニャから本社を州外に移転させた企業の売上は440億ユーロ(5兆7200億円)に相当するという統計も出ている。そして、この売上の85%はマドリード州に本社を移転させた企業によるもので、マドリード州の売上に転嫁したことになる。(参照:「
OK diario」)
更に、カタルーニャへの外国からの投資も昨年はその前年比40%減少したという統計も出されている。ちなみに、スペイン全体では0.7%の増加であった。(参照:「
La Vanguardia」)