理系社員の顧客巻き込み力がグローバルビジネスを伸展させる
全国の大学生のうち、文系と理系は49.1%と29.4%で、残り21.5%は文系と理系の混合学部(参照:「文部科学省学校基本調査」)というように、文系が多数を占めています。しかし、最近では理系学生への注目度が年々高まっており、理系の若手社員を多く迎え、成長を遂げている企業があります。今回は、その一社である東京エレクトロン株式会社常務執行役員 三田野好伸氏に、理系若手社員が活躍していくためのポイントは何なのか、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が迫ります!
山口:社員数1万人を越え、半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置の分野で国内トップ、世界4位のシェアを誇る東京エレクトロンは、理系社員が活躍していることでも知られています。三田野さんは、慶應義塾大学理工学部機械工学科を卒業後、同社で技術部門、マーケティング部門、営業部門などを担当されてきました。まずは理系の若手社員が、どのような領域で活躍しているのかお聞きしたいと思います。
三田野:製造部門でも、研究開発部門でも、機械、電子、材料、物理、化学と多岐にわたる領域で活動しています。ソフトウエア、AI分野の伸展に伴い、従来の専門分野を横断する複合された統合技術も求められるようになってきました。技術知識や経験をふまえて、マーケティングや営業を担う理系出身者も少なくないなど、理系社員が活躍する領域は飛躍的に拡大しています。
山口:統合技術が求められるということは、自分の専門分野だけでなく、関連分野や、全く新しい分野も含めて、広い分野の知識や経験が必要になりますね。どのようにして、領域を広げていくのですか。
三田野:日常の業務のアサインや、異動や昇格によって新分野にチャレンジしていくことも、もちろんですが、日々の活動の中で、工場の自分の専門分野以外の技術者から学ぶ、そして、お客さまから学ぶということがとても大事な要素になります。さまざまな分野で、自分以上の知識や経験を有している社員やお客さまはたくさんいるのです。
山口:解説書や文献を読む以上に、実際のその技術を使って仕事をしている人から教えを受けることが、実践に役立つでしょうし、社内やお客さまとの関係の質も高めるわけですね。
しかし、技術領域に限らず、新しい知識を得ようとしたり、これまでにない分野で仕事をしたりすることには、エネルギーが必要です。
三田野:文系、理系に限らず言えることですが、新しい取り組みをすることにアレルギーがなく、興味を持つことが肝心です。
山口:経験を積めば積むほど固定観念が高まり、新規分野にアレルギーが生じてしまいがちですが、どのように固定観念を排除されているのですか。
三田野:マネジャーが現場に入って、一緒に課題解決することを、ジャンプインと称していますが、そうした中で率先して新しい発想を生みだし、新規取組をサポートするという手本を示すことが最も効果があります。そして、アレルギーを持たないということは、海外ビジネスにおいては、さらに必要になります。
新分野にチャレンジする理系社員
固定観念の排除が鍵
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