スカパーJSATがAmazon・ベゾスの”青臭い”ロケットに興味をもった理由とは

ジェフ・ベゾス氏率いる宇宙企業「ブルー・オリジン」

 そんなスカパーJSATが新たに興味を示したのは、米国の宇宙企業ブルー・オリジンだった。ブルー・オリジンは、Amazonの創業者として、そして先ごろ世界一の大富豪になったことでも知られる、ジェフ・ベゾス氏が率いる企業である。  3月13日、スカパーJSATはブルー・オリジンとの間で、将来の衛星打ち上げにおいて、同社が開発中の「ニュー・グレン」ロケットを利用することについて話し合いを進めることで合意したと発表した(なお、ブルー・オリジン側はすでに打ち上げ契約を結んだかのような表現で発表しているが、スカパーJSAT側の発表と照らし合わせると、これはやや勇み足だろう)。  ブルー・オリジンはこれまでに小型ロケットを開発し、何度か打ち上げも行っている。しかし、ニュー・グレン――人工衛星を打ち上げられる大型ロケットは開発中で、まだ影も形もない。  なぜ、ロケットを選ぶ基準が世界一厳しいといわれるスカパーJSATが、衛星を打ち上げた経験すらない企業の、それもまだ開発中のロケットに目をつけたのだろうか?

ブルー・オリジンが開発中の大型ロケット「ニュー・グレン」 Image Credit: Blue Origin

なぜ実績のないブルー・オリジンに目をつけたのか

 この合意の意図や今後の展望などについて聞くため、スカパーJSATに取材を申し込んだが、「現時点ではお答えすることが難しい」として、回答を得ることはできなかった。そのため以下は、同社の発表文や過去の実績などをもとにした、筆者の推測であることをあらかじめ断っておきたい。  まずスカパーJSATは、今回の合意の理由として「今後の通信衛星の打ち上げ計画に幅広い選択肢と柔軟性を確保するため」と述べている。  実際、2020年前後には、ニュー・グレンだけでなく衛星打ち上げで最大手の欧州や、米国、また日本でも新型ロケットが続々と登場することになっている。そのどれもが低コストかつ、より高頻度かつ柔軟に衛星を打ち上げられるようになると標榜している。ただ、その中でまず真っ先にニュー・グレンに目をつけたのは、それだけ期待が高いということを示している。  実際のところ、ブルー・オリジンは世界一の大富豪であるベゾス氏が率いてるため、倒産することはまずない。そればかりか、ベゾス氏は毎年10億ドル相当のAmazonの株を売却し、ブルー・オリジンに投入すると表明しており、今後も成長を続けることはまず間違いない。  また、新興企業とはいえ、他社から経営面、技術面で経験豊かな人材を引き抜いており、それもあってかニュー・グレンの開発も、比較的順調であることが伝えられている。  つまり、ブルー・オリジンは信頼・安心できる要素が多く、それゆえにニュー・グレンが(多少の遅れなどはあったとしても)完成する可能性も高いと判断できる。

ニュー・グレンの開発は比較的順調に進んでいると伝えられている。画像はロケットエンジンの燃焼試験の様子 Image Credit: Blue Origin

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スカパーJSATの挑戦的な姿勢
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