もちろん、言葉にも失点のヒントはいくつもある。
同じ話を繰り返す、というのは典型的な動揺の傾向だが、緊張によって生じる場合もあるのが注意だ。答弁やインタビューでのスキルが元々低い人の場合、ついつい突っ込みたくなるような失言も、原因が緊張からであったりするので、後日よくよく調べたらただの緊張による言い間違えだった、という話になりがちだ。
繰り返しグセのある人の話からウソや失点を見極めるには、別な変化を探すことだ。それは声質だったり、言い回しの微妙な変化だったりする。逆に、それまで出てこなかった難しい単語が出てくるパターンも要注意だ。
そこで言えば、佐川氏が唯一といっていい部分で声質が変わったのは、近畿財務局の職員が自殺したことに対する答弁の部分だっただろう。震える声質となり「本省理財局と近畿財務局との間で、もし仮に、私は本当の事実関係は承知しないが、仮に連絡担当の職員であって、決裁文書の書き換えにつながることであれば、本当に申し訳ないことだと思う」と答えた部分は感情のあるコメントになっていた。さすがに人の死に触れる話になったときには心が動いたということだろう。失点というよりも、人間としての素直な声の変化だったのかもしれない。
もしも佐川前長官が競輪選手でコメント予想するとしたら
佐川前長官のような競輪選手が実際にいたとするならば、ギャンブラーからすれば予想の難易度は格段に上がる。本人のインタビューからレースに向けての作戦を読み切るのは非常に難しい。ただし、競輪の場合であれば同じライン(連携して風切り役やブロック役を分担する)を組むほかの選手から作戦のヒントを得るチャンスは残っている。
ただ、今回の例えでいえば同じラインの選手……省庁のトップクラスを同じように証人喚問をしたとしても、恐らくは同様のインタビュー技を使いこなせてしまうだろう。ほぼお手上げかもしれない。
それであればトップクラスを探るよりも、ラインの後方を固めていそうな……例えば近畿財務局の実務をしていた職員あたりが、答えを引き出せる可能性が高い人となるわけなのだが、不幸なことに自ら命を断ってしまったのは周知の通り。真相に辿り着くのは難しそうだ……
【シグナルRight(佐藤永記)】
半勤半賭のセミギャンブラー。Twitterやニコ生『公営競技大学』にて公営競技について解説をしている。
@signalright