リーバイス、米生産復活と環境保護を両立させた陰にある企業の存在が

白石和幸

photo by gentle07 via pixabay(CC0 Creative Commons)

 ジーンズの生産には人体に有害となる工程があることや、水の消費量の多さがこれまで問題視されて来た。例えば、ジーンズを色あせた風合いにするのにサンドブラスト法や過マンガン酸カリウムを使用する人体に有害な工程がある。また、これから水資源の保護が益々重要になって来るにも拘らず、1本のジーンズを生産するのにおよそ40リットル水を使用する必要がある上に、環境汚染をもたらしている。
 ジーンズメーカーのリーバイスも、この問題について取り組んでおり、昨年、同社のチップ・バーグ社長は朝日新聞のインタビューに答えて次のように語っている。

「今、布や製品をオゾンガスで洗い、水をなるべく使わないようなシステムを稼働しています。4年間で10億リットルの水を節約した。生産工程で有害な化学物質も低下させ、綿の生産でも定期的に農薬の汚染などの監査をしている。会社そのものの価値を上げ、生活者の共感を得ることが大事な時代です」

リーバイスが環境のために全採用を決めた技術

 実はこのリーバイスの対策を縁の下で支えている企業がある。それが、スペイン・バレンシアにある。この企業とはジーンノロヒア(Jeanología)という会社だ。同社は、自然環境を保護するために繊維関係の分野において生産設備の開発に取り組んできた。そして、3月に、リーバイスの全ての生産システムにこのバレンシア企業のテクノロジ―を採用することが決まったのである。このプランをリーバイスはProject FLX(Future lead execution)と名付けている。(参照:「El Pais」)

 ジーンノロヒア社の技術はリーバイス社にとって大きな変化をもたらす要因となっている。というのも、リーバイスは2004年に米国で最後に残っていた2つの生産工場を閉めた。しかし、ジーンノロヒア社と組んだ事により、テクノロジーを使って米国ラスベガスのスカイハーバーに新工場を開設した。このテクノロジーであれば、米国内で生産する可能性を今後は追及して行くことも可能であるとしている。

害の大きい工程を完全自動化

 ジーンノロヒア(Jeanología)は、バレンシア市郊外のテクノロジー・パークのエリアで1993年に設立された企業だ。同社のテクノロジーの中心になっているのは「レーザー光線」、「オゾン」、「e-Flow」の3つである。
 ジーンズの、特にダメージ加工に必要な、サンド・ブラストという作業は、シリカ粉塵という微粒子を人体に吸い込むことになるため、それが肺に付着して珪肺症という病に冒すされる可能性があると問題視されていた工程だ。また、ストーン・ウオッシュでは過マンガン酸カリウムを使用するが、これもまた人体に有害である。これらの作業は労働コスト面からアジアの労賃の安価な地域の労働者によって行われていた。これら人体に悪影響があるサンド・ブラスト、ストーン・ウオッシュ、マニュアル・スクラピングの手作業の工程を、ジーンロノヒアのLight PP Sprayという機械によって、すべてレーザーで行うことが可能になったのだ。
 この機械を使えば、色あせた感じでデザインの入ったジーンズが1分以内に出来上がる。器機の種類によって、一日に3000~4000本のジーンズのこの生産工程が完了するという。当初、世界47カ国で試験的にこのLight PP Sprayが使用されたそうだ。それは世界のデニム生産の40%を占めることになったという。(参照:「El Pais」、「El Mundo」)

 また、大量の水を必要とする洗浄工程を、「オゾン」を空気の中で生成してその酸化作用を利用してジーンズをオゾン洗浄することによって色を落とすため、節水や電気代の節約にもつながる。

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急成長するジーンノロヒア社
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