「足りないギガ」を個人間取引!? モバイルデータ取引サービス「DENT」が狙う日本進出

 今年2月末、スペイン・バルセロナで開催された、世界最大規模の通信機器イベント「モバイル・ワールド・コングレス2018」(以下、MWC)では、DENT幹部数名に直接話を聞くことができた。共同創業者のひとりであるAndee Vollmer氏は言う。

2月に開催された「MWC 2018」に世界の通信事業者が集まっていた

「MWCには、世界の通信キャリアが一堂に集まります。私たちは、各国にサービスを展開するため、彼らにコンタクトを取りにきました。日本のドコモや、韓国・KTといった各国大手企業の関係者とも、DENTのサービスについて話し合いの場をセッティングしています」  なおDENT関係者の説明によれば、DENTのアプリ上で取引されるモバイルデータの価格は、各国キャリアが定めたものではなく、「市場価格」によって決まるモデルを追求するとしている。専用のアプリ上で「各国や地域によって、モバイルデータを最良の金額で売買」できるシステムを確立するため、サービス拠点や専門スタッフを拡大中だという。 「現在は各国の通信会社と議論を進めているフェーズですが、ゆくゆくは個人間でデータを販売できるようサービスをグレードアップしていく計画です。私たちは、世界どこに行ってもユーザーが簡単にモバイルデータを取引できる『データ取引経済』を立ち上げていきたい。日本のみなさんとも、サービスを通じて会える日を楽しみにしています」(前出、Andee Vollmer氏)  日本市場は、カーシェアリングにしろ、民泊にしろ、各国で一般的かつ生活に浸透し始めているシェアリングサービスがなかなか普及しにくいという特徴がある。既得権をがっちり握る産業の反発や権益保護、法律の未整備がその大きな理由だ。 「モバイルデータのユーザー間取引」というコンセプトも、おそらく多くの障壁に直面するはずである。しかし、世界中にスマートフォンやIoT機器が爆発的に増加するなか、モバイルデータを効率的に売買・寄付するITシステムの存在は不可欠になっていくはずである。DENTは、ユーザー間のデータ取引を実現し、通信業界のUberとなれるのか。今後の動向に注目したい。 <文/ロボティア編集部> 【ロボティア】 人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』の著者・河鐘基が務める。https://roboteer-tokyo.com/
ロボティア●人工知能(AI)、ロボット、ドローン、IoT関連のニュースを配信する専門メディア。内外の最新技術動向やビジネス情報、ロボット時代のカルチャー・生活情報をわかりやすく伝える。編集長は『ドローンの衝撃』(扶桑社新書)の著者・河鐘基が務める。
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会