ただ、ZARA同様に「デザインの模倣」問題を指摘する声も挙がっている。
デスイグアルのデザインは、特徴あるものだが、それが他社のそれを模写したものであるという批判も常につきまとっている。2000年後半からその模写の対象にされたと主張しているのがブランドCUSTO BARCELONA(クスト・バルセロナ)である。同社は訴訟を起こす構えであったが、弁護士からあまり意味がないと説得されたようで最終的にはその訴えを退けたのだという。
クスト・バルセロナも同じくバルセロナで誕生した企業である。クストとダビッドのダルマウ兄弟によって1996年に設立された。クストはカタルーニャでスポーツウエアーを専門にしているブランドMeybaのデザイナーであった。
彼らは独立すると米国を中心に言及したようなカラフルなデザインのアパレルを販売し始め、1997年のニューヨークのファッションウイークで好評を得た。そのお陰もあって、スペインのファッション界でミドルアッパーからアッパー層を対象に市場の一角を担うまで成長していた。外国市場では米国が同社の最大市場で20%の売上に貢献していた。
ところが、2000年代に入ると、それまであまり特徴のあるブランドではなかったデスイグアルが類似のデザインで、品質を幾分か落として価格はクスト・バルセロナよりも安価にしてミドル層の市場に導入したのであった。これが狙い通り成功し、デスイグアルはスペインを始めヨーロッパで急成長したのであった。
日本でも不動の地位を獲得したZARAに続く第三のスペインブランド。デスイグアルが期待している日本市場での反応は如何なる進展を見せるであろうか。
<文/白石和幸 photo by
Herry Lawford via flickr(CC BY 2.0) >
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。