「#MeToo運動」のバックラッシュ。米国男性が気勢を上げる「MGTOW」ムーブメント

水次祥子

「保守派男性差別」を訴える元Google社員も

 MGTOWの男性たちは、こうしたネット上の盛り上がりだけでなく、現実社会でも行動を起こし始めている。女性専用車両に抗議の乗車をするような男性は、そもそも米国に女性専用車両がないため出てきてはいないが、男性差別を訴える男たちが表舞台に現われ、世間に向かって主張し始めた。米Google社のエンジニアだったジェームズ・ダモアー氏らが、同社が保守派の白人男性を差別しているとして今年1月に集団訴訟を起こしたのがその例だ。

 同氏は昨年8月、エンジニア職における女性の能力を生物学的に検証し、女性を重用する会社を批判する意見を10ページもの文書にまとめたのだが、それが会社上層部に知られたため解雇処分となり、現在も無職のままだという。訴訟の傍ら抗議の活動を続けており、米国のケーブルテレビ番組に出演し「会社で受けた保守派白人男性への差別は、1950年代にあった同性愛者に対する差別と同じだ」などと強烈な意見を述べている。

 もちろん、反旗を翻した男性たちに対して女性のほうも黙ってはいない。

 フェミニストの女性からは「男性は何をするにも女性より自由があり、自分の意思でさまざまなことを選択できる。そんな彼らがMGTOWを標榜する必要があるだろうか。彼らは女性を叩きたいだけだ」という怒りの声が上がっている。

 MGTOWをそれぞれの立場から議論する掲示板のスレッドでは、「誤解されているようだけれど、MGTOWは女性を憎んでいるわけではないよ」という男性の意見に対して「それは嘘だわ。あなたたちの掲示板には“なぜ我々は女性が嫌いなのか”というスレッドがあるじゃないの」と女性からカウンターパンチが繰り出される。

 レディーファーストの国といわれた米国で広がる男女の亀裂。これが今後、さらに深刻な問題に発展するのだろうか。

<取材・文/水次祥子 Twitter ID:@mizutsugi

みずつぎしょうこ●ニューヨーク大学でジャーナリズムを学び、現在もニューヨークを拠点に取材執筆活動を行う。主な著書に『格下婚のススメ』(CCCメディアハウス)、『シンデレラは40歳。~アラフォー世代の結婚の選択~』(扶桑社文庫)、『野茂、イチローはメジャーで何を見たか』(アドレナライズ)など。(「水次祥子official site」)

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