欧州に広がるAmazon労働者の反乱。今度はスペインAmazonで「父の日」後の2日間、全面ストに

 それに対して組合側では、欠勤率を下げるには勤務上の改善などを要求している。即ち、配送センター内での労働移動は一日に20kmを歩行するのに匹敵することから骨格筋、筋肉痛を併発したり、疲労よる事故に繋がる場合があるとしている。(参照:「El Confidencial」)  昨年のブラック・フライデーの日には1秒につき16個の注文が入っていたそうで、配送で社員には過酷な労働を強いられていたという。(参照:「ABC」)  組合側としては、会社が赤字であれば経費節約するいうのは理解できるし、社員もそれに協力する意思がある。しかし、実際には2016年のスペイン・アマゾンの純益は430%の増加で170万ユーロ(2億2100万円)を経常している、として会社側は儲けているのに、それが社員に還元されず、寧ろ社員を搾取しようとしていることが不満なのである。(参照:「ABC」)  スト敢行の日として、3月21日と22日を選んだのは3月19日が父の日であるということから注文が殺到するはずだと見たのである。それによって配送の仕事量は極度に増加する。その大事な期間に48時間のストの敢行というのは配送の遅れをもたらし、顧客からの信頼を失うことに繋がる。それは会社側にとって重大な問題になるはずだという脅しになると組合側では見ているのである。(参照:「ABC」、「El Confidencial」)  今回のストの敢行はマドリードのスペイン・アマゾンの社員だけの不満ではない。その前例は既にドイツ・アマゾン、イタリア・アマゾン、フランス・アマゾンでも表明されている。イタリア・アマゾンとドイツ・アマゾンでは昨年ブラック・フライデーに給与と労働条件の改善を要求してストを敢行した。  スペイン・アマゾンが実行する今回のストはヨーロッパにある46カ所のアマゾン配送センターにも影響を与えることは必至だと見ている。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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