欧州に広がるAmazon労働者の反乱。今度はスペインAmazonで「父の日」後の2日間、全面ストに

白石和幸

スペインAmazon

 楽天もアマゾンのスペインでの販売力の前に太刀打ちできないと判断してスペインから撤退したが、そのスペイン・アマゾンに重大な問題が生まれつつある。

 社員が給与と労働条件に改善が見られないとして、ドイツ、フランス、イタリアのアマゾンの後を受けて3月21日と22日の二日間ストライキを敢行することが決まり、配送される荷物の出荷をすべて阻止する構えだ。それは注文殺到する3月19日の父の日を睨んでのストである。

正社員の4分の3がスト敢行に賛成

 アマゾンは現在スペイン国内10カ所にロジスティック配送センターを持っている。今回のストを予定しているのは、2012年に出来たスペイン・アマゾン最初のロジスティック配送センターである。

 この配送センターはマドリード市内から14km離れた人口4万人の都市サン・フェルナンド・デ・エナレス(San Fernando de Henares)にあって、77000平米の広さを持った配送センターで、社員は契約社員を含めて2000名(正社員1100名と契約社員900名)というスペインでアマゾンが持っている最大規模の配送センターである。

 会社側はこれまで社員に昇給や労働条件の改善などを約束してきた。しかし、現実は逆に給与は凍結され、労働条件も悪化しているという。

 労働条件が年々悪化し、過酷な労働を強いられているとして4つの労働組合が音頭を取ってスト実施に賛成か反対かの投票をした結果、正社員の74%がスト敢行に賛成票を投じたことから、3月21日と22日の二日間48時間の全面スト>の実施を決めたのである。(参照:「ABC」)

 この配送センターが2012年にスタートした時の社員は僅か40名であった。それが今、2000名の社員を構えるまでに成長している。

 しかし、この配送センターの社員は会社側に対し不満が鬱積しているという。労働協約は2016年12月31日で切れているが、それが切れる前から17か月間組合側と会社側とで就労改善の交渉が進められていた。が、会社側はこれまで言葉では改善の姿勢を示しているが、具体的にその改善は見られず、寧ろ労働条件などが逆に厳しくなっていると組合側は指摘している。(参照:「ABC」)

 そこで組合側ではこの交渉は3月1日をリミットとして、それまでに会社側から具体的な改善の提案が提示されない場合は社員と相談してストを敢行するか否かを決めるとしていた。結局、会社側からの具体的な提示はなく、今回のストの実施となったものである。

ブラックなアマゾン側就労条件

 会社側が提示している就労条件では、病気による欠勤の場合、これまで100%の賃金が保障されていたのを75%に削減され、夜勤の残業手当もこれまでの賃金から20%の削減、祝日と平日の出勤特別手当はそれぞれ75%と50%と減額にするとなっていた。また、当初、4週間の勤務につき1回の週末休暇が取れるとしていたのを会社側は5週間の勤務につき1回の週末休暇にするとしたという。昇給の可能性はなく、会社側では業務にカテゴリーを設けてそれを満たさない場合は更に減給の対象にする方針であるという。(参照:「El Confidencial」、「ABC」)

 会社側の言い分としては、このように社員への支給額を減らす方向にあるのは、社員の病気による欠勤率が非常に高いということからであるという。

 更に会社の医師は、社員の病気を一つの共通した枠の中での病気と診断を下し、それぞれの患者に適切な診断そして治療をしないという傾向にある。その為、回復も遅い。また、患者も欠勤しても賃金は100%保障されているということでこれまで適切な治療をしないという傾向にあった。それが原因で病気からの回復が遅く、欠勤が増えるという傾向にある。そのため、会社側では欠勤などによる支給額の減額で一人あたり年間で2000~4500ユーロ(26万円~59万円)の経費の節約になると判断しているのである。(参照:「El Confidencial」)

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労働環境改善は後回しの会社側に怒り爆発

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