無印良品が驚きの売場を導入! そのライバルはスーパーマーケット!?

 「アパレル」や「生活雑貨」のイメージが強い無印良品であるが、以前より菓子やレトルト食品も根強い人気があり、とくに「アパレル不況」の近年は、店舗改装時にそうした「食」の売場が拡大される店舗や、直営のカフェ「Café & Meal MUJI」を導入する店舗も増えてきた。

「生鮮導入」とまではいかないものの、加工食品が充実している店舗も多い

 そうした「食強化」の姿勢は、店舗立地の変化にも現れている。  これまで百貨店やファッションビルの無印良品といえばアパレルや雑貨を販売する高層階への出店が多かったが、近年は最初から下層階に出店する例や、店舗の改装に合わせて1階や地階の一等地へとわざわざ移転する例が少なくないのだ。そうした店舗立地ともなれば食品売場から無印良品へと回遊する客も多くなり、自然に「食」を強化した売場づくりへと変わることとなる。

「下層階シフト」が進む無印良品。写真の百貨店では6階から1階の食品売場近くへと移転しており、こうした例は全国各地で見られる(2014年11月撮影)。

 また、駅ナカなどを中心に、食品と化粧品・小型雑貨などに特化した小型店「MUJI.com」業態の店舗も増えており、そうした店舗では電車に乗る前に菓子などを買うサラリーマンやOLの姿を多くみかける。

近年増えつつある小型店「MUJI.com」。一般型の無印店舗よりも食品比率が高い

 このように食強化の動きを強める無印良品であるが、その一方である無印良品の店員は「生鮮品の導入はよほどの大型店ではないと難しい」と話す。生鮮品をフルラインで導入するとなれば、新たに大規模な冷蔵設備などを導入しなければならず、当然、それだけの面積を確保できる店舗は限られてくる。  とはいえ、生鮮食品は管理が難しく経費もかかるが日常的な来客を大きく増やす働きを持つ分野でもある。  今回の生鮮3品の取り扱い開始により、無印良品は一般的な総合スーパーで扱う商材のほぼ全てをカバーすることになる。近い将来、無印良品が「デパートやスーパーマーケットのテナント」から「デパートやスーパーマーケットのライバル」となる日が来るかも知れない。 <取材・文/若杉優貴 撮影/佐藤(ともに都市商業研究所)> 都市商業研究所 若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「@toshouken
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