クルド難民女性のメルバンさん。入管による拘束前はパニック障害が症状が治まりかけていたが、拘束により悪化
22歳の女性がその詳細な理由も明かされず、東京入国管理局の収容所に3か月以上も拘束され続けている。しかもその女性はパニック障害を抱えているにもかかわらず、常飲していた薬の持ち込みを許されず、強いストレスで衰弱しているのだという。3月2日、女性の母親や支援者らが会見を開き、入管による人権侵害を訴えた。
突然、理由を知らされず収容所に拘束、仮放免申請も却下
メルバンさんは日本育ち。小・中・高と日本の学校に通った。「今、トルコに帰れと言われても生活するあてもないし、家族も日本にいる」と話す
メルバン・ドゥルースンさん(22歳)は、トルコ出身のクルド人。トルコでは少数民族であるクルド人に対し、自分たちの言語を話すことを許さず、少しでも反抗的な態度を見せれば逮捕され拷問されるなど、当局による弾圧が続いている。
そのため、メルバンさんは6歳の頃に日本へ連れられてきた。難民をなかなか受け入れようとしない法務省・入国管理局だが、1か月ごとの仮放免手続きを行うことによって収容施設に拘束されずに生活することができ、メルバンさんは小・中学、高校と日本の学校へ通ってきた。
ところが昨年11月末、突如、メルバンさんは東京入管の収容所に拘束されてしまったのだ。そこで「クルド難民弁護団」の大橋毅弁護士がメルバンさんの仮放免申請をしたものの、東京入管は申請却下を大橋氏に通告してきたのだという。3月2日の会見で、大橋弁護士は「メルバンさんは、犯罪にかかわるなど悪いことをしたわけではまったくない。それにもかかわらず仮放免の更新が突然打ち切られ、その理由も示さない」と、東京入管を批判した。
入管職員が「解放を求める運動をやめさせろ」とメルバンさんを脅迫?
東京入管の外観。メルバンさんが拘束されている収容施設もこの建物の中にある
深刻なのは、パニック障害を抱えるメルバンさんは発作を抑える薬が必要であるのに、その薬の持ち込みを東京入管が認めないことだ。メルバンさんに面会した市民団体
「SYI(収容者友人有志一同)」のメンバーである織田朝日さんによれば、メルバンさんは吐血し、手足が痙攣するなどの激しい発作を起こしたが、当初、東京入管は彼女を独房に閉じ込め、放置したのだという(後に雑居房に移動)。
「しかも東京入管の職員はメルバンさんに対して、私たちが電話やFAXで東京入管にメルバンさんの解放を求めていることを止めさせろ、そうしないなら家族や友人と面会させないと、強い剣幕で脅したというのです。そのことがトラウマになったのか、メルバンさんは悪夢にうなされるようになり、ただでさえ薬を飲めないのにますます衰弱していっています。本当に心配です」(織田さん)