オリンピック助成金を見込んだ東京・中野区の再開発で、1万7787本の樹木伐採

中山貴久子

東京オリンピック助成金を見込んだ再開発

平和の森公園・遊歩道

平和の森公園内の遊歩道。夏は日差しをさえぎり、水辺にはカワセミが訪れる貴重な自然環境が破壊されつつある

 平和の森公園の再開発には108億円もの工事予算がかけられている。その財源はどこからやってくるのか。当初は中野駅北側の元第9中学校に体育館が建設されるはずだった。それが急きょ平和の森公園に変更になった理由は、2020年開催の東京オリンピック関連の助成金が関係していると思われる。

 施設建設を公園内で行えば、国土交通省の「社会資本整備総合交付金」から最大50%、東京都の「東京オリンピック・パラリンピック競技大会等施設整備助成」から最大25%の助成金が見込めるのだ。

 オリンピック助成金の本来の目的として、オリンピック機運醸成のためや、オリンピック後も有効活用できるものであれば問題はないはずだ。しかし平和の森公園に整備されるのは、すでに供給過剰のナイター設備つき大人用野球場、中途半端な300mのトラック。パラリンピック選手も利用する体育館には、スロープがないことなどが明らかになっている。

「通常の陸上競技で使われる陸上トラックは400m。300mだなんて、区の体育大会も開けやしない」と岩村信弘さん(「守る会」世話人)は首をかしげる。

「そもそもスポーツ公園の基準は広さ15ha以上。6.5haの平和の森公園は、あくまで地域住民のための公園で、防災林としての役割を担っている。そこにむりやり建設しようとするからおかしくなる。そのために樹齢100年のヒマラヤスギを含む1万7787本の木が切られるのはまったくおかしいし、バーベキュー場は煙や臭い、ゴミや騒音など公害をまき散らす。区民の生活環境の破壊ですよ」

東中野駅前でも桜並木を伐採!?

先人の保存会

桜並木保存会による立て看板。30年にわたって育んできた桜並木を次世代に残したいという思いがこもっている

 行政による住民無視の環境破壊を伴う再開発はこれだけではない。昨年12月19日、中野区の東側に位置するJR東中野駅前では、市民から親しまれてきた16本の桜並木が、一枚の通知だけで伐採されようとしていた。中野区とJRの指示で深夜から工事車両がやってきたが、伐採に反対する住民50人が朝4時30分まで工事車両の進入を防いだ。

「この桜並木沿いにあるレストランで、春になると満開の桜を眺めながら食事をいただくのが楽しみ」と話すB子さんは、いわゆる「住民運動」(東中野西口の桜並木を守る会・サポーターグループ)に参加するのは初めてのこと。

「(住民運動に参加する)きっかけはその店主から木の伐採の話を聞いたこと。ここ東中野に30年暮らしてきて、桜並木を次世代に残したいという思いからです。住民の大多数が伐採に反対で、『伐るならせめて替わりの苗木を植えてほしい』と言っているのに、区は皆の声を聞こうとしないのです」

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住民からあがる反対の声

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